地方銀行を取り巻く環境が変わりつつある。人口減少や地域経済の縮小、デジタル化への対応を背景に、県境を越えた経営統合や県内再編が進む一方、鉄道会社など異業種との連携も広がっている。関西では滋賀銀行と池田泉州ホールディングス(HD)が経営統合に向けた基本合意を発表。りそなグループ傘下の関西みらい銀行にはJR西日本が出資し、金融と交通を組み合わせた新サービスの準備を進めている。地域金融の競争軸が変わり始めている。
財務省によると、地方銀行(第一地銀と第二地銀の合計)の数は1990年末の132行から、2025年3月末には97行に減少した。このうち第二地方銀行は68行から36行へとほぼ半減している。人口減少による地域経済の縮小に加え、デジタル化やシステム投資への対応など、金融機関を取り巻く経営課題は多い。
こうした中、経営統合の動きが相次いでいる。群馬銀行と第四北越フィナンシャルグループ(FG)は2026年3月に経営統合で最終合意し、2027年4月に統合持ち株会社「群馬新潟フィナンシャルグループ」の発足を予定する。第四北越FGが商号を変更し、傘下に群馬銀行と第四北越銀行が入る形だ。千葉県内では、千葉銀行と千葉興業銀行が2026年3月に経営統合契約を締結し、2027年4月に共同持ち株会社「ちばフィナンシャルグループ」の設立を目指す。
関西でも10月29日、滋賀銀行と池田泉州HDが経営統合に向けた基本合意を発表した。2027年4月の最終契約、2028年4月の統合実現を目指す。構想では、池田泉州HDの商号を変更して統合持ち株会社とし、滋賀銀行は株式交換で完全子会社となって、池田泉州銀行とともに傘下に入る。銀行同士は合併せず、それぞれの銀行として存続する方向だ。両グループの総資産は単純合算で約14兆円となり、京都フィナンシャルグループを上回る関西最大の地銀グループとなる見通しだ。
両行の顧客基盤は地域によって異なる。滋賀銀行は滋賀県内に強固な営業基盤を持ち、池田泉州銀行は大阪や兵庫を中心に顧客を抱える。統合が実現すれば、滋賀から大阪・兵庫に広がる企業ネットワークを生かし、事業承継やM&A、販路開拓などで連携を深めることが期待される。
関西みらい銀行、JR西日本と資本業務提携
関西では、銀行同士の統合とは異なる動きもある。りそなHDとJR西日本は2026年5月、関西みらい銀行への出資を通じた資本業務提携を発表した。JR西日本は10月1日、りそなHDから関西みらい銀行の株式20%(2000万株)を900億円で取得。同行はJR西日本の持ち分法適用関連会社となった一方、引き続きりそなHDの連結子会社でもある。
提携では、JR西日本グループが持つ駅や商業施設などの顧客接点と、りそなグループの金融機能、関西みらい銀行の地域ネットワークを組み合わせる。新銀行サービス「WESTERミライバンク(仮称)」は、JR西日本が関西みらい銀行を所属銀行とする銀行代理業の許可を受けることを前提に、当初予定していた2027年度中から前倒しし、2027年春ごろの提供開始を目指す。
鉄道の利用や買い物など、日常の生活動線と金融サービスを結び付ける構想だ。銀行の店舗網や融資先を広げる従来型の連携とは異なり、駅や商業施設など銀行の窓口以外の接点を通じて金融サービスを届ける新たな取り組みといえる。
今回の動きは、銀行の規模を大きくするだけでなく、顧客との接点やサービスの提供方法そのものを変えようとするものだ。滋賀銀行と池田泉州HDの経営統合が広域的な金融基盤の構築を目指す一方、関西みらい銀行とJR西日本は交通・商業と金融の融合を進める。
金融機関の再編や異業種連携が、企業の資金調達や事業承継、販路開拓などへの支援力向上につながるのか。地域に根差した金融サービスがどう進化するか、今後の展開が注目される。
