一般投票による総選挙結果を受けた「吉本新喜劇まつり2026~選ばれし30+1の座員たち~」が大阪・なんばグランド花月で開催され、昨年に続き優勝の山田花子(50)が座長として演出を担当する1夜限りの演目「花子の炎の聖書(バイブル)」が上演された。山田はクラッシュギャルズ・長与千種の大ファンで自身も女子プロレス練習生だった事から、初の女子プロレスを題材に新喜劇としては珍しい女性目線で女性中心の大展開となり、新たな魅力創造への第一歩を踏み出した。吉本新喜劇でのヒロインは周囲からマドンナと呼ばれるが、笑いを取る主人公は長い間男性中心で女性は脇役扱いだった。現在約140人居る新喜劇座員も男女比は約7対3。漫才やコントの笑芸界はもっと極端で、9対1ぐらいの超男性優位社会を形成。しかし今回の座員総選挙では入賞者30人が初めて15対15と同数に。さらに3位すっちー座長と殿堂入りアキ座長がそれぞれすち子とアキ子の女形を演じたため実質14対17と初めて女性陣が多数派の構成となった。
物語はケガでプロレスをあきらめ地方で静かに暮らす山田の地元で女子プロレス大会が開催されることになり、かつてのタッグパートナー・アキ子(アキ)と再会。山田の娘でアイドル活動から挫折し戻ってきた一人娘(酒井藍)に母親として頑張る姿を見せるため再びリングに上がる、というロッキー風の展開。山田は長与をイメージしたキラキラの赤いコスチュームでリングに登場、覆面強盗の片割れ(千葉公平)相手に水平チョップ、キャメルクラッチを披露し場内を沸かせた。


山田の演出は自身だけにとどまらず、マドンナ人気の頂点に立ち男性ファンを分け合う小寺真理と金原早苗の2トップが本気でののしり合う展開でまず客席を驚かせ、そこにコメディアンヌの森田まりこが〝偽小寺〟の物まねでかぶせて場内大爆笑。1世代下で次期マドンナ候補として人気の小林ゆうを往年の最強外国人プロレスラー、ブルーザー・ブロディ風の衣装とメークで登場させたのをはじめ、同じくマドンナ候補の長身・大塚澪とコメディアンヌで背が低い岡田直子をデコボココンビで組ませて新たな笑いネタを創出。さらに人気コメディアンヌ代表格・島田珠代と五十嵐サキは極悪同盟風メークで登場、大爆笑を誘った。こうした新たな試みについて山田は多くを語らず「全部読み通り」と静かな笑み。


幕間の挨拶で舞台に登場した藤原寛・吉本興業副社長は「来年3月の喜劇記念日には新しい新喜劇をアップロードできると思う」と一過性に終わらせない自信を示し、間寛平GMも「1回しか稽古出来ずに心配したが、(山田)花ちゃんが芯を取ってうまくまとめてくれた」と評価した。
来年は入賞常連で現在産休・育休中の宇都宮まきと鮫島幸恵の舞台復帰が確実視され、アキ座長は「来年はもっと女性座員が総選挙に勝つよ」と予言。既に昨年と今春に新喜劇入りした新人座員は人数的にも出演歴でも女性上位で、新喜劇の新たな潮流は更に加速しつつある。
(畑山 博史)
