寛永行幸から400年、世界遺産・二条城で秋の体感型アート展

 10月23日から世界遺産・二条城(京都市中京区)で開幕する「NAKED meets 二条城2026」。今年は後水尾天皇を二条城に迎えた「寛永行幸(かんえいぎょうこう)」から400年という記念の年にあたるため、寛永時代に育まれた美とデザインを光と音のアートで現代に紐解く、秋の夜間限定アート展となっている。

 Nakedが二条城で行う同様のインベントを何度も鑑賞してきたが、今回の内容はこれまでとは違った仕上がりになっている。ワンランク上というより斜め上、趣向や趣が過去作品とは一線を画し、京都の歴史や文化に重きを置いた表現やデザインを軸に表現されている。

 これまでの華やかでポップな感じから、落ち着いた、まさに趣のある演出になっているので、過去に作品を鑑賞したことのある人でも間違いなく楽しめる。

 1626年、後水尾天皇を二条城に迎えて行われた「寛永行幸」。公家と武家が交わり、茶や花、装い、庭園など多彩な文化が花ひらいた寛永時代を象徴する出来事だった。この行幸に中宮として立ち会った徳川和子は、のちに東福門院として着物をはじめとする文化を支えた。

 同展ではその和子をキーパーソンに、唐門のライトアップから二の丸御殿、内堀、清流園へと巡りながら、寛永時代の言葉・意匠・色彩をプロジェクションマッピングやライトアップで体感していく。

 城内へ入ってすぐの場所にある「Introduction -和子との出会い-」では、同展の説明があるので、まずはここで一度足を止めて、目と耳を傾けてほしい。

 重要文化財の唐門では「花ひらく文化」として、唐門と両脇の壁まで使ってプロジェクションマッピングが展開される。寛永文化をモチーフにした繊細な文様や色彩が光となって浮かび上がり、この先に続く文化の物語へと来場者を誘ってくれる。

 二の丸御殿 大広間前「響きの余白」では、建物の前の空間にある4つの光のスポットに立つと、その向かいに描かれている鳥のイラストが動き出す仕掛けになっている。

 この演出に関しては、過去のものよりも一段階レベルアップしたと言えるかもしれない。また、音と映像がコラボしたサウンドインスタレーションも見もの。

 内堀を使ってのプロジェクションマッピング「意匠の綴(つづり)」は、気持ちを落ち着けてじっくり見てもらいたい作品。約4分の映像は、1本の糸に見立てて放たれる光が内堀に当たり、そこから文様を描きながら一枚の織物を織り上げていく様子が展開される。寛永期に花開いた意匠が、その瞬間だけの新たな文様として紡がれる。

 映像美や音とコラボしたサウンドインスタレーションがここでも楽しめる。

 香雲亭や清流園では、スモークを使った演出が仕掛けられているので、風がない日に行くとかなり幻想的な風景が見られるかもしれない。

 ライトアップに意識を持っていかれそうな美しさだが、耳を澄ますと聴こえてくる楽器の音色にも注目。古代の楽器からシンセサイザーまで、様々な音が織りなす世界も一聴の価値あり。

 最後にやってくる台所前庭では白い小袖を羽織って、デジタルアートを体験する「小袖の綾(あや)」が用意されている。目の前に雑誌風の絵面が現れ、腕の動きでページをめくっていき、気に入ったデザインのページで決定と合図すると、そのデザインが画面いっぱいに表示される。

 最初にも少し触れたが、今回の演出は歴史と文化を感じさせる内容で纏められているのが特徴。腹広い年齢層の心に染み入るものがあるのではないだろうか。

 また、同取り組みの一環として、10代から20代までの若い世代にも京都の歴史や文化に興味を持ってもらいたいということで、同展の音声ガイドナビゲーターを、日向坂46の正源司陽子さんが担当。Spotifyをはじめとする各種音声配信サービスで、正源司さんのナレーションとともに、寛永行幸の舞台となった二条城を巡りながら、徳川和子が生きた時代の文化や芸術、装いの物語に触れることができるようになっている。聴取は無料で、会場へ来る前に自宅や移動中に聴取できるので、予習を済ませてから鑑賞に入れる。

 ほかにも、中学生以下の入場を無料としたり、学生(高校生・大学生・大学院生・専門学校生)および京都市在住者を対象に、当日会場で500円のキャッシュバックを実施するという。

 開催時間は午後6時~同10時。最終入場は同9時。料金は月~木曜が高校生以上2,000円、金土日祝は高校生以上2,400円。詳細は公式HP(https://event.naked.works/nijojo/autumn/ja/)に掲載。

タイトルとURLをコピーしました