消防署や学校でも活用 備え見直すきっかけに

もし、自宅で突然火事が起きたら、誰を助け、どこから逃げるのか―。火災時の行動を疑似体験しながら防災を学ぶボードゲームがある。「もしかじ」だ。
5人1組となり、火災が発生した住宅から「どこから逃げるか」「誰を助けるか」などを判断しながら屋外への脱出を目指すボードゲーム。
疑似体験を通じ、住環境を安全に整えることの大切さや、自宅の火災予防、備えについて考えてもらうとともに、家族らと話し合うきっかけにしてもらうのが狙いだ。消火器や火災報知器の有無、避難経路など、身近な備えを見直すことにもつなげる。
子どもが生まれ意識一変
同ゲームは、西村防災設備(京都府宇治市)が企画制作し、なんでもあそびデザインが制作を手掛けている。同社の西村太希さんは消防設備士として防災設備に携わっているが、以前は家庭で十分な火災への備えをしていなかったという。西村さんは「子どもが生まれたことをきっかけに、火災を自分ごととして考えるようになった。大切な人を守るためにも一度ゲームで学んでもらいたい」と話す。
火災発生1日平均100件超
総務省消防庁の「2025年版消防白書」によると、24年の出火件数は3万7141件で、1日約102件発生したことになる。建物火災は2万972件で、このうち住宅での火災が1万1839件と全体の56・5%を占めた。
建物火災の主な出火原因では、「こんろ」が2654件と最も多く、「電気機器」2051件、「たばこ」1721件、「配線器具」1461件、「電灯電話等の配線」1133件と続いた。「こんろ」による火災では、出火に至った経過として「放置する、忘れる」が1062件と最も多かった。
ボードゲーム表彰で大賞にも
「もしかじ」は、京都市消防局の研修をはじめ、東京大学教育学部附属中等教育学校の授業や、企業などでの防災教育にも活用されている。
社会課題の解決などにつながるボードゲームを表彰する「第4回ボードゲームジャパンカップ」では、応募92作品の中から大賞を受賞した。
豪雨や環境問題も新たな題材に
9月13日には、茨木市男女共生センターローズでボードゲーム体験会が開かれ、参加者がゲームを通じて防災や社会課題について考えた。
「もしかじ」の体験者からは、室内に置かれた物が避難の妨げになることや、火災報知器が作動しなければ、音楽やゲームなどに集中して火災への気付きが遅れる可能性があることなど、日頃の住環境や備えを見直す必要性を感じたとの声が聞かれた。また、荷物を持ち出すことを優先した結果、避難が遅れたり、選択を誤ったことで住人を救えなかったりした体験から、火災時の判断の難しさを実感したとの意見もあった。
会場では、「もしかじ」に続くボードゲームとして、豪雨をテーマにした「もしあめ」のテストプレーのほか、保護動物と飼いたい人とのマッチングを考えるゲームや、海の資源をめぐる経営シミュレーションゲームなども繰り広げられた。
このような、ゲームを通じた疑似体験が、防災や社会課題を身近に考えるきっかけの一つとなりそうだ。

