【東高校】自分で確かめ、判断できる生徒へ<大阪府立高校長インタビュー vol.2>

 少子化や授業料無償の影響で、私立人気が高まる大阪。一方、独自の取り組みや学科、コースなどの特色化で魅力を高める府立高。各校の魅力に迫る。

「自分で考え、判断できる生徒を育てたい」と話す東高校の大西校長

「本当にそう?」から始まる学び

 「ネットの情報をうのみにするな」。大阪府立東高校(大阪市都島区)の大西忠典校長が、生徒に繰り返し伝えている言葉だ。同校では「探究」を教育の柱に据え、生徒自身が問いを立て、調べ、考え、発表する学習に力を入れている。2028年度入学生から現在の普通科、理数科、英語科を「総合科学科」「国際文化科」の2学科に再編する予定だ。(竹居真樹)

 ─東高校の一番の特徴は。

 探究学習だ。1年生で論文の読み方や文献の探し方、調べ方などを全員が計画的に学ぶ。2年生になると自分たちでテーマを決め、グループで研究し、最後は論文にまとめて発表する。単に授業を受けるだけでなく、自分で動くことを大切にしている。

 ─成果を感じる場面は。

 この前、生徒から「この校舎はいつできたんですか」と聞かれ、私も正確には分からなかったので「ネットで調べるといい」と言った。すると、その生徒は「ネットの情報だけでは当てにならない」と、玄関付近にある昔の校舎写真などを自分で見に行き、年代を確かめようとしていた。

 ─ネットですぐ検索するのではなく、自分で確かめた。

 「生徒は情報をうのみにするなという教育を理解している」と私自身が感じた。ネットでも生成AIでも、便利なものは使えばいい。ただ、それが本当に正しいのか、前提は何なのかを疑う力は必要だ。

 ―探究で身につけた力は、普段の勉強にも表れているのか。

 表れている。例えばテストで記述式の問題に対し、以前と比べて、自分の考えを最後まできちんと書ける生徒は明らかに増えた。自分で調べ、考え、言葉にする経験を積んでいるからだと思う。
 探究の成果は研究発表だけにとどまらない。情報を集め、整理し、自分の考えを文章にする力が、日常の授業やテストにもつながっている。

 ─これからの時代は、そうした力が重要になりそうだ。

 教えられたことをそのまま覚えるのではなく、「本当にそうなのか」「ほかの考え方はないのか」と考える。いわゆるクリティカル・シンキングが重要だ。私は教員にも「常に探究心を持って、自走できる生徒を育てよう」と話している。
 探究は学校の外にも広がる。隣接するNTT西日本の共創施設「クイントブリッジ」(大阪市都島区)と連携し、生徒が企業や地域の人と議論する機会も設けている。〝京橋からごみをなくす〟をテーマにしたグループは、地域の清掃活動にも参加。実際の街に出て課題を確かめながら解決策を探っている。

 ─28年度には学科も再編される。

 今はもう、単純に文系、理系と分ける時代ではないと思っている。中学校で理科や数学が得意なら総合科学科、国語や英語が得意なら国際文化科という入り口はあっても、その後の進路まで固定するつもりはない。得意なところから入り、さまざまなことを学科に関係なく広く学んでほしい。

 ─卒業後、どんな人になってほしいか。

 進路でも「行ける大学ではなく、行きたい大学へ」と指導している。自分で判断して、自分で生きられる人。不透明な時代だからこそ、何かが変わった時に慌てるのではなく、「前提が変わったなら、自分はどうするのか」と考えられる大人になってほしい。

■大阪府立東高校/大阪市都島区東野田町4─15─14/ 電話06(6354)1251

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