雑草を資源に 農地再生へ大阪公立大院生ら炭に変えて地域循環目指す

 農地に生い茂る雑草を、価値ある資源に変えようと取り組む大学院生がいる。大阪公立大学大学院工学研究科1年の里見聡太さん(22)らが共同代表を務める「エアグリー」(堺市)だ。耕作放棄地の維持管理を担ったことをきっかけに、雑草を炭にして活用する仕組みづくりを進めている。(加藤有里子)

じゃがいもを収穫する大学院生ら。左から、帝塚山学院大学の松本さん、大公大院の牧野さん、 内藤さん、社会人の張さん、大公大院の里見さん

 畑一面に目の高さほどまで伸びた雑草。里見さんが大学3年生だった2024年、共同代表を務める内藤大智さんらと管理を担った農地を初めて訪れた時に目にした光景だった。スコップとレーキを手に作業したが、数週間後には再び雑草が生い茂っていた。
 「雑草は抜いてもまた出てくる。それなら、ただ処理するだけでなく、活用できる仕組みにできないか」。この経験が、雑草を価値ある資源に変える取り組みにつながった。
 エアグリーは里見さんと内藤さんらが進める活動だ。きっかけをつくったのは、共同代表の内藤さんだった。内藤さんは食育に関心があり、畑を借りるために各所へ連絡を取っていた。つながった相手の農地を維持管理できることになり、里見さんにも「農業をしないか」と声をかけた。
 里見さんにとって、農業は縁遠いものではなかった。実家では母親が畑を借りて家庭菜園をしており、手伝った経験がある。また、大学1年から3年まで打ち込んだバドミントン部を引退し、新たに熱中できるものを探していた時期でもあったため、活動に加わった。「大学生の自分たちで農業をするのはおもしろそうだと思った」と振り返る。

草刈りしても元に荒廃農地の現実

 国内では、耕作されず荒れた農地、「耕作放棄地」が課題となっている。農林水産省農村振興局地域振興課によると、24(令和6)年3月末時点の荒廃農地面積は25・7万㌶。堺市の面積に換算すると、約17個分にあたる規模だ。里見さんは「耕作放棄地と聞くと、所有者に対して悪い印象を持つこともあるが、やむを得ない事情がある人も多い」と話す。高齢化や人手不足などを背景に、農地を管理したくても手が回らない人がいることを、現場で実感したという。

伸びた雑草をレーキでかき集める

食育活動にも挑戦

 当初は雑草を畑に敷いて土を守る「雑草マルチ」なども試しながら、土を再生させていった。そんな折、一般社団法人との出会いを通じて、大豆を種から育て、収穫した大豆でみそを作るプロジェクトにも参加。堺市内の調理室を借り、子どもや保護者らと一緒にみそ作り体験会を行うことも。また、畑では大豆のほか、大根やニンジンなども育てている。
 現在も農業体験を行っており、エアグリーのインスタグラムで案内している。

邪魔者を価値ある炭に

 転機となったのは、先輩が独自に研究していた「雑草を炭にする」取り組みだった。邪魔者として扱われる雑草も、炭にすれば活用できる可能性がある。里見さんらは、この発想をビジネスプランとして考案。大阪公立大学で開かれたビジネスコンテストで見事優勝した。
 炭にする方法は、雑草を専用の機械に入れ、酸素を入れずに熱を加えるというものだ。ただ、里見さんが重視するのは、炭の活用先を探すことではなく、雑草を処理したいという地域の困りごとだ。 
 雑草が伸びると、害獣の隠れ場所になり、周囲の畑が荒らされる原因にもなる。害虫の発生や、通学路にはみ出した草によるけがの恐れもある。「雑草は抜いてもまた出てくる。それをうまく活用できるようになれば、処理したくなる仕組みができる」(里見さん)。
 雑草をただ捨てるのではなく、地域で回収し、炭にして循環させる。ペットボトルの回収のように、雑草を持ち込める場所ができれば、地域の環境改善にもつながると考えている。

地域の困りごと解消し社会貢献したい

 エアグリーの目標は「雑草を資源に変えることを通じて、地域の困りごとを減らすこと」だ。農地をきれいに保つことは、景観や安全、周辺農家の負担軽減にもなる。里見さんは「雑草という邪魔者を、有効な資源に変えて社会貢献したい」と話す。
 現在は、活動の形を整えながら、将来の進路として焼却プラント関係の仕事にも関心を寄せているという。
 「雑草の生命力を、厄介者ではなく、資源へ変える」。大学院生による新たな取り組みが耕作放棄地の課題解決となるのか、注目したい。

刈った雑草を運ぶ院生たち

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