「新NISA」解禁前にはやくも顧客獲得合戦

 少額投資非課税制度(NISA)拡充が2024年から始まるのを受けてか、インターネット証券各社のサービス拡充が目立ってきた。NISA口座の新規開設や移管時のキャンペーンを設けたり、ポイント付与の対象拡大が考えられる「Vポイント」と「Tポイント」が統合するニュースがあったりと、顧客獲得の競争が激化しつつある。

 これまでネット証券の大手、SBI証券のSBIグループとSMBCグループ(三井住友銀行、三井住友カード)が資本・業務提携して以来、クレジットカードで投資信託が買える投信積立サービスができるようになり、この便利さから国内の口座開設者が増加していった。さらに提携を生かした「Vポイント投信」という、1ポイントを1円換算としてSBI証券の投信銘柄の買い付けができるようになっている。
 これに「Tポイント」を展開するCCCグループ(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が加わり、「青と黄色のVポイント」が24年春から開始(6月13日発表)する。さらなるサービスの向上が考えられる。
 Tポイントはすでに、Pay Pay ポイントと交換できるようになっており、ポイント運用も可能だ。このほか、ウエルシアやヤフーショッピング(ふるさと納税)、アマゾンと外部提携に強みを持っている。これらのTポイントサービスが新Vカードも利用できるかどうかは、まだ正式発表はないが、サービスのさらなる拡充は容易に想像できる。
 楽天証券は、ことしの初めから楽天カードクレジット決済のポイント還元率(1.0%⇒0.2%)や、投資信託の保有額に応じて受けられるポイント還元を減らしたりして、一部の利用者から「改悪」といわれていた。ところが一転、4月から投信積立のクレジット決済でのポイント進呈率を引き上げるなど、サービスの見直しが始まっているようだ。このほか、1株から国内株式をリアルタイムで取引できるサービスも始めている(※)。
 「たかがポイント、されどポイント」どれも少額から始められる積立投資向きのサービスであり、証券各社で新NISAを意識した顧客獲得合戦が始まろとしている。


※通常は1単元(口)、100株単位でしか売買できない国内株式を、1株から購入できるようにしたサービス(単元未満株ともいう)。