空き店舗を〝食・宿泊〟拠点に 若手9人が構想披露 粉浜商店街(大阪市住吉区)

18年シャッターが下りていた元製麺所を再生させる9人(前列左から2人目が金澤さん)

 大阪市住之江区の粉浜商店街で、約18年間空き店舗だった元製麺所が再生に向け動き出した。若手メンバー9人が新拠点「COHAMA BASE(コハマベース)」として活用する計画だ。3月1日には「お店つくります報告会」で構想が披露され、長くシャッターが下りていた建物に再び人の気配が戻った。(加藤有里子)

空き店舗の壁に貼られた事業構想を見る住民

 中心となるのはリーダーの金澤幸代さん。祖母が粉浜に住んでいることから、幼い頃からこの商店街に親しんできた。転機となったのは、先日の韓国出張だった。ディベロッパー主導の大規模開発ではなく、個々の店が集まりコミュニティーを形成することで街が進化する姿を目の当たりにしたという。「帰国後、何か携われないかと思っていた矢先にこのプロジェクトを知り、すぐに応募した。粉浜商店街をもっと誇れる街にし、ここをコミュニケーションの場所として提供したい」と意気込む。
 今回の取り組みは、大阪市などで構成される「商店街再生事業実行委員会」が主導する「空き店舗を活用した商店街再生事業」の一環。市などが「空き店舗」と「その空き店舗を再生したいプレーヤー」を募集。候補となった元製麺所にメンバーが集まり、昨年11月から商店街の課題や魅力のリサーチ、事業プランの策定を重ねてきた。

宿泊施設併設のフードスペース構想

 計画は三本柱で構成される。一つ目は「コハマスープ」と題したフードコート事業。商店街の青果店や鮮魚店、精肉店、豆腐店などの食材を活用したスープを提供する。商店街で購入した総菜をすぐに食べられる場所がないという課題に着目。スープやドリンクを注文すれば持ち込み利用も可能とする。また、住吉大社への参拝客を商店街へ誘導する仕掛けも検討する。
 二つ目は「コハマキャンプ」。2階を活用した宿泊体験型事業だ。人工芝を敷き、テントや寝袋を用いる形式を想定し、滞在者とフードコートの利用者などとの交流の機会を図る。
 三つ目は「コハマスペース」。シェアキッチンとシェア本棚を設け、食事会や料理教室など1日単位の出店体験を可能にする。
 報告会当日には商店街を訪れた住民から「何ができるの?」「いつオープンするの?」といった声や、「長らく空いていた店舗が動き出すのは楽しみ」と期待の声も聞かれた。
 同事業は「空き店舗を活用した商店街再生事業」として2023年度に開始。名古屋で商店街活性化に取り組んできたナゴノダナバンクが企画運営を担い、大阪市などでまちづくりを実行してきた建築士らがサポートする体制で進められている。23年度は大東商店街(都島区)や玉出本通商店街(西成区)、24年度は神路一番街商店街(東成区)や矢田駅前商店街(東住吉区)で実施され、25年度は粉浜商店街と八幡屋商店街が採択された。採択されると改装費補助が交付される。
 大阪市経済戦略局産業振興部の植田壮彦商業担当課長は「大阪市内には把握しているだけで400以上の商店街があり、全国有数の商店街集積地だ。同事業を通じて開業支援だけでなく、商店街に関わる人を増やしたい」と話す。
 長く空き店舗になっていた場所が、再び人を呼び込む場所となり、街づくりを担おうとしている。「ここをきっかけに、空き店舗で商売を始めたい人を5~10年かけて育て、粉浜を『イケてる街』にしたい」(金澤さん)。

宿泊体験事業のイメージ展示。人工芝を敷き、テントや寝袋を用いる計画だ
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