就職の入り口が消える大学生と親が知るべき現実 いま、米国で起きている異変

 あなたが今、大学生だったり、その年頃の子どもを持つ親なら真剣に読んでほしい。人生の岐路が差し迫っている─。

 AI(人工知能)によってエントリーレベルの職が大きく奪われているという話を聞いたことがないだろうか。事務やIT・技術系、製造、小売りや飲食、介護など、未経験者や新卒を採用して基礎業務を通じてスキルを習得させていくのが従来のやり方だったが、いきなり実務経験を要求される時代に突入したようだ。

 AIが世界で最も社会に浸透する米国では、過去3年で、このエントリーレベルの職が35%も減った。このため、大学を卒業しても職を得られない学生や若者が急増しているのだ。

 減少枠の多くはホワイトカラー職で、人気のエンジニアなどの技術系のポジションも含まれている。
 また、世界中のハイテク企業にエンジニアを送り出しているインドでも影響は大きい。企業は「即戦力を少数採る」方向に傾いており、従来の大量に育てたエンジニアを大量就職させる仕組みが崩れつつある。毎年何百万人ものエンジニアを養成する同国の工科系大学はシリアスな課題に直面している。

 日本でも少しずつAIが職場に進出してきているが、海外に比べてまだまだスピードは緩やかだ。ただ、労働人口の減少に備える形で大企業から順にAIの導入が進んでおり、日本でもエントリーレベルの職がやがてAIに置き換わるだろう。

 おまけに人材が足りないため、多くの企業がインドから技術者を雇用しようとしている。彼らはグーグルやテスラ、アマゾンなどの米系ハイテク企業で通用する技術を身につけたエンジニアだ。エントリーレベルとはいえ、日本の大学で学んだ程度の学生が対抗できるとは思えない。

 もともと日本は失業率が低く、大学を卒業と同時に就職し、入社後に社内で教育を受けて仕事を覚え、労働力になっていく流れだ。それなのにエントリーレベルの職がなくなることは、新卒で就職したい人にとって致命的なダメージを与えることになる。

 すでに職に就いている人も安泰ではない。未だに「ワークライフバランス」や「静かな退職」などを言っている人がいるが、現在の労働環境の変化や求められる能力がどんどん高度化していることに気づかないでいると、あっという間にAIにとって変わられるのは火を見るよりも明らかだ。24時間365日、文句も言わず休みも求めず、黙々と仕事を進めていくAIよりも、早く高度な技術を身につけ、仕事のスキルを向上させていかないと、会社にとって必要のない人材とみなされる。解雇されずとも、居場所は間違いなくなくなっていくだろう。

 嫌な上司の下で働いていたはずが、いつの間にかAIに使われるポジションに成り下がってしまうのだ。チームみらい党首の安野貴博氏も、「AI失業はすでに始まっていて、今後失業率が上昇する」と話している。

 また、大学で学ぶAIやDXなどデジタル関連の知識や技術は、卒業する頃には、実社会で活用するにはすでに一世代遅れたものになっている可能性もある。大学で学ぶだけでなく、自らが最先端の情報を仕入れ、技術やスキルを磨いておかないと、労働市場で価値のある労働力とみなされない事態になってしまいそうだ。

 過去もそうだが、今後もコミュニケーションスキルや創造力、文脈を読み取る能力などを卒業するまでにある程度は身につけていないと厳しい状況に陥ることは間違いない。

 そうならないためにも、早い時期からアルバイトやボランティア、クラブ活動などで能力を磨いておくことをオススメしたい。

【プロフィル】米ニューヨーク州立大ビンガムトン校卒業。経営学専攻。NY市でメディア業界に就職後、現地で起業。「世界まるみえ」「情熱大陸」「ブロードキャスター」「全米オープンテニス中継」などの番組製作に携わる。帰国後、ディスカバリーチャンネルやCNAなどのアジアの放送局と番組製作。経産省や大阪市等でセミナー講師を担当。文化庁や観光庁のクールジャパン系プロジェクトでもプロデューサーとして活動。
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