谷町九丁目、次なる注目エリアへ 交通利便性と文教環境、上本町再開発が後押し

 梅田やなんば、天王寺といった大阪の都心で再開発が進む中、その結節点にあたる谷町九丁目・上本町が、次なる注目エリアとして静かに存在感を高めている。交通利便性に恵まれ、文教地区としての評価が定着するこの街に、駅前再開発という新たな動きも見え始めた。

利便性×駅前再開発×文教・文化

大阪の三大ターミナルに直結

 「東西南北、どこに行くにも便利。都心部だけでなく、奈良や神戸にも乗り換えなしでアクセスできるのが気に入っています」。谷町九丁目で暮らす人々に街の印象を尋ねると、皆口をそろえてこのようなフレーズが返ってくる。

 谷九の最大の強みは、抜群の交通利便性と、その先に広がる行動範囲にある。大阪メトロ谷町線と千日前線が交差し、谷町線で東梅田と天王寺へ、千日前線でなんばへと結ばれている。大阪を代表する三大ターミナルに、いずれもダイレクトにアクセスできる立地だ。

 梅田では、グラングリーン大阪の全面開業に向けた整備をはじめ、阪急「大阪梅田」駅周辺の大規模再開発や大阪マルビルの建て替えなどが進行中。なんばでは、南海電鉄が掲げる「グレーターなんば構想」のもと、なんば広場や難波千日前地点再開発、なにわ筋線新駅の整備など、街の回遊性を高める動きが続く。天王寺でも、あべのハルカスやあべのキューズモール、てんしばを核に、にぎわいが街に定着してきた。

 再開発による都市機能のさらなる向上が期待される大阪の三大ターミナルに直結し、生活圏として使い分けられる立地は、市内でも限られている。例えば、平日は梅田のオフィスへ通勤し、習い事や買い物は天王寺に。週末はショッピングでなんばへといった生活動線を、無理なく組み立てられる。

広域ネットワークの拠点

 さらに、谷町九丁目駅と地下通路で結ばれる近鉄「大阪上本町」駅を利用すれば、行動範囲は大阪市内にとどまらない。近鉄線で奈良方面や名古屋、伊勢志摩へ。阪神なんば線を経て尼崎や甲子園、三宮へも電車1本でアクセスできる。

 また、近鉄上本町バスターミナルからは、大阪(伊丹)空港や関西国際空港への直通リムジンバスが発着している。同バスターミナルは昨年、大阪・関西万博に合わせてリニューアルされた。国内初のIR(統合型リゾート)が開業すれば、再び夢洲への交通拠点としての役割が高まりそうだ。

 市内主要エリアを日常的に使いこなしながら、ちょっとした外出から本格的な旅行まで対応できる、交通ネットワークの拠点となっている。

近鉄GHDが大阪上本町を再開発

 こうした立地の強みに加え、谷九・上本町エリア自身も次の段階へ進もうとしている。近鉄グループホールディングスは、創業の地・大阪上本町駅とその周辺を一体的に再開発する構想を描いている。

 同社が昨年発表した中期経営計画によると、上本町は「あべの・なんば」と共に沿線価値深化・活性化の重点エリアに位置づけられている。文教・住宅を軸とする「定住人口型エリア」と定義されているのも特徴だ。教育機関の集積や歴史、上町台地という立地特性を生かしたまちづくりを進める方針を同社は示している。単に人を集める拠点ではなく、「住み続けたい街」としての価値向上を図る狙いだ。

 具体的には、2030年以降をめどに、「近鉄百貨店上本町店」の建て替えや、隣接する「シェラトン都ホテル大阪」の刷新を検討している。総投資額は1300億円超とされ、その規模はあべのハルカスと同水準にのぼる見通し。駅前の景観や機能を大きく更新する計画として、関心を集めている。

文教と文化が息づく街

 近鉄がこの地を「定住人口型」と位置づける背景には、長年にわたって培われてきた街の土台がある。谷九から上本町にかけては、関西有数の文教地区として知られ、私立の名門校や進学塾が集積。難関校対策で知られる大手塾が立ち並ぶ「塾銀座」としての顔も持ち、教育を重視するファミリー層から根強い支持を集めている。教育関係者からも「落ち着いた環境の中で学びを積み重ねられるエリア」との評価が聞かれる。

 また一帯は、大阪市内では珍しい高台「上町台地」に位置し、多くの寺社が点在する。古くから人の営みが重なってきた土地で、街並みの随所に歴史や文化の気配が残る。都心にありながら落ち着いた空気が保たれているのは、こうした背景によるものだろう。

 交通利便性や文教地区としての評価、文化の蓄積という従来からの強みに、百貨店やホテルを含む都市機能の更新をどう重ねていくのか。谷町九丁目・上本町エリアの今後から目が離せそうにない。

商業・歴史・教育etc 谷九・上本町のおすすめスポット

▼近鉄百貨店上本町店

近鉄大阪上本町駅直結の百貨店。食品や日用品、専門店、レストランがそろう。近鉄グループ創業の地としての歴史も持つ。

▼上本町YUFURA

近鉄百貨店と館内でつながる複合施設。飲食やファッションなどの店舗に加え、多彩な演目を誇る「新歌舞伎座」も入る。

▼上本町ハイハイタウン

谷町九丁目・上本町駅に隣接する複合商業施設。飲食店を中心に、教室や物販、クリニックまで幅広い店がそろう。

▼高津宮

仁徳天皇をまつる由緒ある神社。境内ではマルシェなどの催しも。併設カフェ「富亭」は地域交流の場として親しまれている。

▼清風中学校・高等学校

創立80年の伝統を持つ中高一貫の男子校。人格教育を土台に、国公立大への進学実績と盛んなクラブ活動で知られる。

▼パドマ幼稚園

浄土宗大蓮寺を母体とする幼稚園。知的教育に偏らず、あそびと学びを一体とした保育で「考える力」や心の土台を育む。

タイトルとURLをコピーしました