【大阪の高校受験】2023年の入試 北野が1クラス増で3年ぶりの広き門 茨木は1クラス減

 大阪府公立中学校長会からこのほど、公立中学校の卒業見込み者の第2回進路希望調査の結果が発表された(1月16日現在)。まもなく第3回の希望調査が発表される頃だが、今年のおおよその傾向は出ているので解説したい。

大阪の公立高校入試 進路希望調査の倍率から読み解く

 まず、今春の大阪府立高校入試はトップ10校のうち、2校の募集定員に動きがあった。北野高校が3年ぶりの広き門となり、昨年の320人から1クラス増やして360人に。一方で茨木高校が1クラス減。

 このあたりが上位校の受験地図に何か影響を与えるのか。開成教育グループの藤山入試情報室長によると、「難易度はほぼ変わらず。例年通りで影響はない」という。

 ちなみに、大阪府は2014年に学区が撤廃され、すべての府立高を受験できるようになっている。

※掲載している大阪府立高は偏差値50以上のみ。開成教育グループのまとめた資料をもとに作成

 動きのあった旧1学区を見てみよう。北野高校は第2回の希望調査で倍率が1.37だった。昨年の2回目は1.51だから、少し易化しているようにも映る。しかし、今春と同じ360人募集だった20年を見ると、第2回希望調査の倍率は1.33だったものの、最終出願の倍率は1.30。ほぼ例年並みに収まり、難易度は変わらなかった。「今年も同じ傾向になる」(藤山室長)。※北野高校は最終的に倍率1.26(3月12日加筆)

 一方の茨木高校も希望調査では2倍を上回ったが、「実は昨年も同じ。茨木高校の回避組が同じ偏差値帯の学校に分散する。春日丘高校は校風が異なるから、池田高校や千里高校などへの影響も要注意だ」と説明する。※茨木高校は最終的に倍率1.51、池田高校1.16、千里高校1.34(3月12日加筆)

 このほかの旧2、3、4学区のトップ10校には、特段の動きはほぼなかった。

 全日制公立高校一般入試は、3月3、6、7日に出願受付。10日に試験、20日に合格発表が行われる。

>>大阪府立高校のグローバル学科、なぜ倍率が下がる?



大阪府立高校入試 1カ月前の受験生へアドバイス 開成教育グループ藤山室長に聞く

過去問は時間を計りながら

 ─公立高校の入試まであと1カ月。入試直前の受験生へのアドバイスを。

 まずは、新しいことはしないこと。この時期に参考書を買って知識を加えようとすると、一度覚えた知識が違って見えるし、不安が増す可能性があるから避けるべきだ。それよりも弱点を克服する。何より入試の予行演習として過去問に取り組むことが大切だ。

 ─過去問に取り組む際の注意点は。

 受験する学校がC問題を採用しているなら、21年の過去問は避けよう。コロナ禍の影響で、例年より出題範囲が狭くなっているから参考にならない。過去問を解くときは、当日の試験時間を意識して時間を計りながらやる。ゆっくりなら誰でも解ける。特に数学は忙しいので、限られた時間で解く訓練をしておきたい。

 ─C問題を採用している学校の受験のポイントは。

 国語・数学・英語の3教科がC問題の場合、そもそも問題の難易度が高く、受験生の得点が〝だんご状態〟になりがち。つまり、差をつけにくい傾向にある。一方、どの府立高校も共通の問題で出題される理科・社会。この2教科の出来次第で、合否が決まってしまうケースも少なくない。上位校ほど顕著だ。理科・社会は穴をつくらないように、不得意分野も克服しておきたい。

 ─何か受験のテクニックはあるか。

 国語の作文に関して、試験当日にあせってしまい、手が動かなくなってしまったという話もよく耳にする。作文は文字数が不足してしまうと、そもそも採点から除外されてしまう。このため、同じような内容を繰り返してでもいいから空欄を埋める努力はしておきたい。
 現在は新学習指導要領への移行期間にあたる。移行措置で新たに付け加えられた分野は要チェックだ。例えば、数学なら「統計的確率」などの追加があった。経験上、移行単元は入試に出やすいので注意しておきたい(※下表参照)。

主な移行措置の内容(現中3生の追加のみ抽出)

国語

●都道府県名に用いる漢字20字(読み書き)が追加。
茨、媛、岡、潟、岐、熊、香、佐、埼、崎、滋、鹿、縄、井、沖、栃、奈、梨、阪、阜

●「共通語と方言の果たす役割について理解すること」が追加。

数学

●「数と式」に「素数の積」が追加。

●「資料の活用」に「累積度数」と「統計的確率」が追加。

理科

●「力の働き」に「2力のつり合い」、「植物の生活と種類」に「動物の仲間」、「火山と地震」に「自然の恵みと火山災害・地震災害」が追加。

社会

●地理・歴史・公民ともに、以下の単元で、北方領土・竹島・尖閣諸島について、より詳しく学習。
◎地理…日本の位置・領域について学ぶ単元(例:日本の姿)。
◎歴史…明治時代の外交・国境画定について学ぶ単元(例:開国と近代日本の歩み)。
◎公民…国際社会のしくみについて学ぶ単元(例:地球社会と私たち)。

●歴史で、「世界の古代文明(ギリシャ・ローマの政治制度)」、「ユーラシアの変化(モンゴル帝国による東西交流)」、「ヨーロッパ人来航の背景(ムスリム商人との関連)」、「市民革命(アメリカ独立・フランス革命)」について、教科書の内容よりも詳しく学習する場合あり。

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