
愛犬の入浴は欠かせないが、自宅の浴室で洗えば腰に負担がかかるうえ、毛の処理も手間が掛かる。一方、トリミングサロンは頻繁には通いづらい。このような飼い主のニーズに対応したサービス、セルフ式ドッグスパがある。(加藤有里子)
自宅洗いの負担とサロンの壁埋める存在に
近鉄不動産(大阪市天王寺区)では、飼い主が自ら愛犬を洗うセルフ式の入浴施設「K・DogSpa(ケイ・ドッグスパ)」を運営している。
完全無人で、予約や決済、入退館はすべてウェブ上で完結する。施設内には、汚れを落としやすいマイクロバブル方式の浴槽を備えるほか、大型犬が出入りしやすい全面扉や、シャンプーやブラシなどを置けるスペースを設けている。
ブロワーやハンドドライヤーに加え、高齢犬でも使いやすいよう補助器具や、すのこも用意している。同社ソリューション事業部K・DogSpa担当の坂井宏旭課長は「ペット需要は拡大しているにもかかわらず、大手企業が比較的少ない分野だったので参入した」と話す。
現在、大阪府内の針中野店、河内花園店、八尾高安店の3店舗を含む計7店舗を運営し、会員数は約6000人。利用時間は60分からで料金は2000円から(店舗や祝祭日によって異なる)としている。無人運営ながら1日1回の清掃やコールセンターを導入し安全面にも配慮している。
ユーザーからは「自宅で洗うと毛の処理が大変。排水溝がすぐ詰まる」「腰をかがめずに洗えるのが助かる」といった声が聞かれる。また、サロンの中には高齢犬を断るケースがあるため、同店舗を利用しているという声もあるという。
背景には、ペットを取り巻く環境の変化がある。富士経済(東京都中央区)が調査した「ペットフード・ペットケア/生活用品の国内市場2024年」によると、ペット関連市場は全体として堅調に推移しているものの、ペットオーナーのコスト意識は高まっている。このため、トリミングサロンの料金上昇で利用頻度を減らす飼い主が増えているという。
「プロに任せきり」でも「すべて自宅で」でもない中間的なサービスとして一定の利用が広がっている。
同社ではドッグスパの展開に加え、愛犬家向け住宅のリフォーム事業にも取り組んでおり、ペットとの暮らしを支える事業を広げている。

