塩野義の抗菌薬、中国で承認 展開加速へ

 塩野義製薬(大阪市北区)が開発した抗菌薬「セフィデロコル」が、中国で正式に承認された。中国の医薬品規制当局が、グラム陰性菌による複雑性尿路感染症の治療薬として認めたもので、治療が難しい感染症に対する新たな選択肢となる。

 本承認は、海外と中国国内で実施された臨床試験の結果に基づく。既存の抗菌薬と比べて治療効果が同等であることが確認され、安全性についても新たな懸念は認められなかったという。

 背景には、抗菌薬が効きにくくなる「薬剤耐性」の拡大がある。抗菌薬が効かない感染症は〝サイレントパンデミック〟とも呼ばれ、世界的な公衆衛生上の課題となっている。推計では、2021年に世界で約114万人が薬剤耐性に関連して死亡したとされ、今後も対策を講じなければ被害の拡大が懸念されている。

 セフィデロコルは、多剤耐性菌にも効果を示す新しい仕組みの抗菌薬で、日本や欧米、台湾など26の国と地域ですでに使用されている。世界保健機関(WHO)の必須医薬品リストにも掲載され、国際的に重要な治療薬と位置付けられている。

 塩野義製薬は中国事業の強化を進めてきた。中国平安保険グループとの合弁事業を通じて新薬やヘルスケア事業の基盤を築き、2024年末に合弁解消を決定。2025年にかけて、関連会社2社の完全子会社化を進めている。これにより、中国本土での新薬開発や販売を本格化させる方針だ。

 同社は今後、抗菌薬セフィデロコルに加え、新型コロナウイルス感染症の治療薬「ゾコーバ」などの展開を加速させるとともに、治療薬にとどまらないヘルスケアソリューション提供企業(HaaS)への転換を図る。

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