毎年11月、越前がに漁の解禁とともに、“日本で一番美味い”と評される冬の味覚を求めて多くの観光客が訪れ、福井県坂井市・三国港周辺は一気に活気づく。だが地元では、海水温が下がる1月こそが、越前がにが最も旨くなる時期だという。本当なのか。その理由を探るため、坂井市を直撃取材した。
坂井市は「美食都市アワード2025」を受賞！
越前がにや甘えびなどの海の幸を中心とした食文化と、食を軸にしたまちづくりの取り組みが評価された。なお、日本を代表するブランド米・コシヒカリ発祥の地でもある。
越前がには、それぞれの時期に良さがありますが、海水温が下がる1月になると身が引き締まってきます。
カニは約10年の間に7～8回の脱皮を繰り返して成長し、脱皮後の柔らかく甘い味わいを好む人もいますが、1月から2月にかけて、身が詰まり、味噌の入りも十分となってきます。
価格面でも1月は狙い目。解禁直後の11月は客が集中し、12月は荒天で漁に出にくく、お歳暮需要も重なって高値になりがち。一方、1月から2月は正月明けの節約ムードや雪の影響で客足が落ち着き、相場が下がる傾向があります。
越前がにとは
越前がには、福井県の港に水揚げされる「黄色いタグ」が証となるブランドがに。雌はセイコガニとも呼ばれる。福井のズワイガニ漁は日本最古とされ、大正時代から皇室献上が続く、全国でも唯一の歴史を持つ。三国沖は岸からすぐに水深が深くなり、良質なプランクトンが豊富だ。漁は基本的に日帰りで、船は夕方に港へ戻り、当日中にセリにかけられる。ので鮮度抜群！毎年11月6日に解禁され、翌年3月20日まで楽しめる。
甘えびも坂井市の名物
三国港は1959年頃に甘えびの水揚げが始まった発祥の地とされ、県内一の水揚げ量を誇る。網を海底から浮かせて曳く漁法により身に傷がつきにくく、ぷりっとした食感と濃い甘みが際立つ。旬は4月から6月、9月・10月で、なかでも5月が最も身が締まり格別。
坂井市おすすめグルメ
子持ちせいこ丼
東尋坊商店街の「やまに水産」は、皇室献上がにを扱う店。
1月末まで期間限定の「子持ちせいこ丼」は絶品。身がしっかり詰まったせいこがにを2杯使用し、内子も外子もたっぷり味わえる。
いか焼き
食べ歩きなら、「東尋坊味処 小南亭」のいか焼きは外せない。香ばしく焼き上げた一杯は、東尋坊散策のお供にぴったりだ。
東尋坊
東尋坊は、日本を代表する断崖景勝地。荒波に削られた柱状節理の岩壁が約1キロにわたって続く。遊覧船に乗れば、高さ20メートルを超える断崖が目の前に迫る大迫力の景色を体感できる。
名物・おろしそば
2階席から丸岡城を望む「そば処 丸岡城御門庵」では、丸岡産そば粉を使った名物・おろしそばが味わえる。大根おろしを添えた冷たい一杯は、すっきりとした喉ごしが魅力だ。
丸岡城
北陸で唯一残る江戸時代以前の現存天守。この天守を築いたのは、織田信長の重臣・柴田勝家の甥、柴田勝豊。福井地震で倒壊したが、主要部材の7割以上を再利用して1955年に修復された。外観は二階建てに見えるが内部は三階建てで、階段は最大67度の急角度、屋根は石瓦。現存天守でこの造りは唯一。
旅がもっと楽しくなる 坂井市のおすすめ情報！
雄 島
東尋坊の沖合いに、「神の島」と呼ばれる小さな島。朱塗りの橋を渡り石段を上がると、森の奥にある大湊神社は源義経が海の安全を祈り、明智光秀も足を運んだとされる。
ここには「モックリコックリ」と呼ばれる巨大な魚が島を襲った伝承があり、神が放った一本のかぶら矢は千本の矢となり退治された。越前松島水族館近くの浜の石が赤みを帯びているのは、その血に染まった名残だという。
＼注目ポイント／
森の頭上では、木々の葉が重ならず隙間をあける「クラウンシャイネス」という神秘的な現象が見られることがある。
芝政ワールド「恐竜の森」
国内最大級のリゾートプールで知られる芝政ワールドにあった手つかずの森、そこには恐竜たちが生きていた。研究所でミッションを受け、60体以上の動く恐竜が棲む森を歩く迫力満点の世界観が楽しめる日本最大級の恐竜アトラクション。
※「恐竜の森」は冬季期間（1～2月）は休止。冬季期間中は芝政ワールドの入場が無料となり、屋内アトラクションを楽しむことができる。
エンゼルランドふくい
宇宙飛行士・毛利衛さんが名誉館長を務める、遊びながら学べる体験型施設。科学や宇宙、ものづくりをテーマにした展示や体験がそろい、ほとんどの施設を無料で利用することができる。家族旅行の立ち寄り先としてはもちろん、坂井市は学力水準の高さでも知られており、教育環境を重視する移住希望者からも注目を集めている。
現在、坂井市では移住相談も増加しており、詳しくは移住定住推進課（0776-50-3034）まで。