生活防衛へ総合対策 ガソリン税廃止と給付2万円

 止まらない物価高が家計を直撃する中、政府は生活防衛を掲げた総合経済対策に踏み切った。年末にガソリン税の暫定税率を廃止し、価格の上昇に歯止めをかける。さらに、真冬の電気・ガス料金は国が負担を肩代わりし、請求から自動的に差し引かれる仕組みを導入。子育て家庭には子ども1人につき2万円を給付し、自治体による食料支援も広がる見通しだ。暮らしを守る取り組みが、今まさに動き出している。

衆議院本会議で野党の質問に答える高市早苗首相。この日は18・3兆円規模の補正予算案の審議がスタートした。=2025年12月8日(つのだよしお/アフロ)

ガソリン減税・子育て給付2万円へ 政府、「総合経済対策」を閣議決定

 長引く物価高騰の波が、食料品や日用品、さらに冬場の暖房費などの家計を直撃している。こうした厳しい状況を受け、政府は11月21日に「総合経済対策」を閣議決定し、国民生活の安定に向けた具体策を打ち出した。本紙では暮らしに関係のある項目4つをピックアップする。                  (竹居真樹)

子育て世帯に特化した支援策

 一つは児童手当を受け取っている18歳以下の子ども(2007年4月2日〜26年3月31日生まれ)を持つ家庭を対象にした「子育て応援手当(仮称)」の給付だ。これは所得制限を設けず、子ども一人あたり2万円を一律に支給するもので、負担の大きい子育て世帯を直接支援する目的。児童手当と同じ口座に振り込まれ、「プッシュ型」で支給されるため申請は不要。住んでいる地域によってばらつきは出るが、できるだけ早く振り込まれる予定だ。
 次に、地方自治体がおこめ券や電子クーポンなどの食料品の支援を拡充する交付金だ。大阪市は「おこめ券」ではなく「プレミアム商品券」を発行する方針。23年に1万円で1万3000円分の買い物ができる商品券を発行したが、大阪市の横山英幸市長は前回と同じか、それ以上の対応をしたいとしている。

光熱費負担を減らし家計を守る

 そして、ようやくガソリンの暫定税率にも決着がつく。政府はガソリン税(1㍑あたり53・8円)のうち、暫定税率25・1円分を12月31日に廃止する方針だ。価格の急激な変動を防ぐため、既に始まっている石油元売りへの補助金を段階的に拡充し、同水準まで価格を下げた後に廃止へ移行する。これにより、年末には小売価格が150円台半ばになることが期待され、政府は一世帯あたり年間1万2000円程度(補助金なしのガソリン価格との比較)の負担軽減を見込んでいる。
 また、電気・都市ガス料金は、特に冬場の暖房で電気使用量が増える来年1月から3月分(請求は2月〜4月)について支援額を拡大。平均的な世帯で3カ月で合計7000円程度を請求から自動的に差し引く。
 大阪府内の税理士事務所に勤めるファイナンシャルプランナーの岡田逸太さんは、今回の総合経済対策について「家計の負担を和らげる一時的なクッションとして有効。ただ〝インフレは今後も続く〟と予測される。預貯金の価値は目減りしていくので、一人一人が自分の財産を守るため、インフレに強い資産に変えていくことが重要だ。国が用意したNISA(少額投資非課税制度)の枠組みを活用した投資信託の積み立てなどの資産形成をはじめるとよい。一時的な給付金を〝将来のインフレに負けない家計〟を作るためのきっかけにするのも策だ」と話す。
 今後、高市総理は所得税がかかり始める「年収の壁」の引き上げ、給付付き税額控除の導入などを検討し、中所得・低所得者層の負担を軽減し、手取りを増やす考えを示している。

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