前回の【Part 1】でお伝えした万博会場の全体の様子に続いて、個別のパビリオンの状況をレポートする。
解体作業が目立って進んでいたパビリオンから取り上げた。
1)ポルトガルパビリオン
すでに吊り下げられていたロープや屋根にかけられていたネットなどが取り外されていて、建物自体はそのままだが、かなり解体された感じがする。

2)クウェートパビリオン
特徴のある外観が撤去され始めていて、正面にあった舞台部分や国名を表示していた部分などはすでに解体されてしまっている。


館内はまだほとんど手をつけていないようだった。
3)中国パビリオン
表から見ると少し工事が始まったかな、という感じだったが、裏に回ってみるとアッと驚く様子が。


すでに館内もかなり解体作業が進んでいるようで、廃棄物などが大量に運び出されていた。
4)マルタパビリオン
強烈な光を放つフラットパネルのモニター部分が完全に取り払われていて解体作業が進んでいるようだった。

館内に展示されていた甲冑が姫路城で展示されているということなので、館内も相当片付いているのだろう。
5)アンゴラパビリオン
オープンするまで時間がかかったが、解体は至って順調なようで、館内部分はすでにほぼ解体が終わっていた。

この分だと今月中には全て終わるのでは、というペース。このタイプとしては最速かも。
6)ハンガリーパビリオン
建物自体はまだ手付かずの状態。そのせいか、建物の前と横に生えている草が相当な勢いで伸び放題状態になっていて、ここには緑があったんだ、と今更ながら新しい発見。

7)ポーランドパビリオン
ハンガリーパビリオンの向いのポーランドパビリオンでは、少しずつ解体作業が進んでいて、館内に設置されていたものを運びだして梱包していたり、壁にはめ込まれていた木のブロック(?)は少しずつ撤去され始めていた。

これらの木のブロックは一部がポーランドに送り返されて再利用され、残りは倉庫で保管して、次の出番まで保管しておくそうだ。
8)パソナネイチャーバース
少し前にアトム像が撤去されていたパソナ館では、館内の解体も順調に進んでいるようで、「生命進化の樹」部分に使われていたのだろうパーツが梱包されてトラックに積み込まれる作業の最中だった。



9)セルビアパビリオン
万博期間は、きれいに整備されていた植物が、水分が行き届いていないのか枯れてしまっているようで残念。

館内の解体作業は行われていたが、外観はまだ手付かずのまま。この様子だと植物は枯れたまま処分されてしまいそう。
10)ウズベキスタンパビリオン
木の柱と木製の三角形の屋根部分が特徴だったウズベキスタンパビリオンでは、屋根部分が解体作業中で、取り外された三角形の部分から継ぎ目に詰められたパーツを取り出し、自国に持ち帰った後、再度組み立てができるように整備していた。




11)オーストラリアパビリオン
カンガルーやエミューがいたオーストラリアパビリオンにはもう何もおらず、連日イベントが行われていたステージも解体されていて、パビリオンの前はかなり片付けられていた。

12)タイパビリオン
パビリオン前に置かれていた象がラッピングされ、帰国を待つ状態。

建物自体はまだ外観からは作業の進捗がわからない程度で、パビリオン前にあったものはほとんど撤去されている状態だった。
13)モナコパビリオン
樹齢500年といわれていたオリーブの木は丁寧にラップされて次の場所へ移動するのに待機している様子。

ほかの樹木も細心の注意を払って、巨大なクレーンを使って抜き出そうとしていた。


モナコの目指していたものと植物の扱い方に共通する部分が感じられた。
14)韓国パビリオン
前面のあの巨大モニターが解体されていた。

大量のLEDパネルを組み合わせていた巨大なスクリーンから一枚、一枚とLEDパネルが取り外されて、丁寧に梱包されていた。
15)ドイツパビリオン
閉幕翌日から樹木の撤去を始めていただけあって、すでに表部分にあった樹木やサインは全て撤去されてしまっていて、かなり殺風景な感じになっていた。

館内はまだ作業をしている様子はなく、レストラン「Oishii Germany」の中は片付け作業をしていたが、あまり進んでいるようには見えなかった。こちらの解体作業はドイツ人の業者たちが行っていた。
16)ルクセンブルクパビリオン
すでにパビリオンに使われた素材の再利用先が決まっているせいか、前面にあった樹木の撤去が終わって、建物の解体作業に取り掛かろうとしているようで、足場が組み上げられていた。

建物の壁に使用している素材や材料は交野市に、基礎に使ったコンクリートは「神戸ネスタリゾート」(兵庫県三木市)に、上にかけられていた白いシートは素材を再利用して財布やバッグに変身する。
17)アメリカパビリオン
来館者が長蛇の列を作って待っていたスペースの床部分と巨大なスクリーンが設置されていた側面の壁の一部が解体され始めていた。

18)フランスパビリオン
表部分にあったものや横に置かれていた彫刻などが撤去され、パビリオンの前面横にかけられていた白い巨大なシートが撤去されていて、ノスタルジックな雰囲気を醸し出していた。

19)カナダパビリオン
表部分にあったものは全て撤去されていて、さっぱりした様子。

20)ウーマンズパビリオン
こちらも表部分にあったものがなくなっており、パビリオン自体はそれほど解体されている訳ではないのに、すごく解体されてしまったように見えた。

まだ外観だけみると手付かずのままになっているように見えるパビリオンもいくつもあって、解体作業はまだまだ続きそうなのがわかる。



会場全体を歩いてみて感じることは、あれだけ華やかだったパビリオンが、色褪(あ)せて見えること。半年間頑張ったので傷みや汚れもあるだろうが、寂しく感じてしまう。
また、サステナブルな万博といっていた割には、やはり解体作業になると大量の産業廃棄物が出てしまうのは否めない。あちこちでコンクリートや壁に使われていた板やボード類、骨組みに使用していた鉄類、枯れたり切り倒されてしまっていた植物などが山積みになっていて見ていて複雑な気分になった。
そんな中でも、ルクセンブルクやモナコ、パソナ、オランダ、ウズベキスタンなどパビリオン自体の移築が決まっているものや、材料の再利用が決まっているものもあり少し安心する。
解体作業に関しては、頻繁ではないが、引き続き追いかけていく予定なので、時々レポートしていく。
(文・写真=岡野健将)

