
大阪・関西万博のシンボル施設「大屋根リング」(夢洲リング)の一部保存が、万博後のレガシー(遺産)として具体化しつつある。9月に開かれた大阪府、大阪市、日本国際博覧会協会などによる検討会では、リング北東側の約200㍍を原型に近い形で保存し、周辺を大阪市が市営公園として整備・管理する案で合意した。
万博協会によると、保存にかかる費用は改修約40億円、10年間の維持費約15億円で、総額約55億円の見通し。これに対し吉村洋文知事は18日の定例会見で、万博運営による黒字の剰余金を「最優先で活用すべきだ」と述べ、新たに経済界に負担を求めず、まず剰余金を充てる考えを示した。
入場券は損益分岐点の1840万枚を超え、約2200万枚を販売。ロイヤリティ収入もあり、黒字化の見通しが立っている。吉村知事は「夢洲リングは万博の象徴であり、レガシーとして残す価値がある」と述べ、保存に向けた前向きな姿勢を示している。