古着や廃材がアートに 大丸梅田店で個性光るサステナブル作品展示 リメイクで魅せる「再倖築」が関西初登場

 大丸梅田店は8月27日~9月30日を、サスティナブルウィークス期間とし、廃棄予定だった素材に光を当て、新たな価値を生み出す「Relight(リライト)」をテーマに掲げている。各階では「リメイク」「リサイクル」「リデュース」「もったいない」の視点から生まれたさまざまな取り組みが紹介されているので、現場をチェックして来た。

 9月10から16日まで、1階東イベントスペースにクリエーターチーム「再倖築(さいこうちく)」が関西初登場。古着や廃材をリメイクして、新しいファッションへと〝再構築〟するブランド/クリエイターチームで、下北沢辺りが本拠地。
 大阪では中崎町近辺に出没するファッショニスタに響くようなスタイルのファッションアイテムを製作、販売している。

 3人のチームで24と25歳の若さ。会社設立3年目だが、なんと1年目からパリコレに参加しているインターナショナルでクールなチーム。

 何をやっているかというと、古着を集めて、その中から自分たちの感性に響くデザインやスタイルをベースに複数の古着を組み合わせて、全く新しい、そして世界で唯一無二のオリジナルプロダクトに仕上げているのだ。
 初めて目にした際は、「この服、少し変わっているのでは?」と戸惑うかもしれない。だが視線を重ねるうちに「なるほど、これは大胆でユニークな組み合わせだ!」と感嘆せずにはいられないデザインだ。

 チームコンセプトは、「壊して、つくりなおす」=古着や既存の服を大胆に壊し、自由に作り替えること。サステナブル×独創的なデザインのファッションを通じ社会課題へのアプローチを表現しているという。

 また、ブランド名の再倖築の「倖(こう)」には「服で幸せになってほしい」という思いが込められているそうで、取材に応じた渋川さんは「写真に社名も一緒に入れて下さい」と、その社名に熱い思いを込めていた。

 物腰は柔らかいが、語る内容には確かな芯がある。その言葉からは熱意と強い思いが伝わり、設立からわずか3年で成功を収めた理由もうかがえた。

左端に控えめに立っているのが渋川さん。彼に会うためだけでも行く価値あり

 現場では、集めてきた古着を使って、その場で再構築して、完成したものはそのままハンガーにかけて販売へ。そのため、行く度に違う製品に出会うことができる。

 世界で1着だけ、自分しか持っていない、そして一期一会の出会いでしか購入できない。
 リメイクやサステナブルというソーシャルグッドな理由だけでなく、製品としての魅力も高い「再倖築」の服やパンツなど、一度試してみてほしい。

 店内を階上へ移動すると、3階のスペースと、4階から9階(5階を除く)の南エスカレーター前には、まだ、きれいなうちに廃棄されてしまう花たちをリメイクした「ロスフラワー®」が飾られている。

 花農家や式場などから、やむを得ず出てしまう「ロスフラワー®」に、「フラワーサイクリスト®」たちが新たな命を吹き込み、空間装飾に役立てようという取り組みだ。

 メンバーの河島春佳さんが、アルバイト先で300本のバラが廃棄されるのを目撃し、この〝もったいない現状〟をどうにかしたいという思いから活動を始めたのが原点 。
 「フラワーサイクリスト®︎」になるためのスクール「フラワーキャリアアカデミー」を設立し、全国の200人以上の卒業生と共にミッションである「花のロスを減らし花のある生活を文化にする」ために活動中。ただ美しさを提供するだけでなく、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を花の世界から実現しようとする、非常に先進的な取り組みなのだ。

 このほか、リメークの視点から作品づくりに取り組んだ展示もある。

 3階南エスカレーター前では「ワイントップアート アレトコレココ」の作品を展示。ワインのキャップシールやコルクなど、本来は廃棄される素材を使い、着色せずに特性を生かした独自の手法で動物の立体作品を制作している。

 「今、ここ(地球)に生きる」をテーマに、愛する動物の美しさや個性を表現。廃材を用いたアートを通して、地球上の現存する資源が再生され、価値あるものへと生まれ変わることを感じてほしいとの思いを込めて制作している。

 9階南エスカレーター前の特設会場では、廃棄されるマニキュアを化粧品会社から仕入れ、画材として用いて制作したマニキュアアートの作品を、作者のchikako adachiさんが展示している。偶然に生まれる美しさを表現するとともに、絵画作品を廃材と組み合わせたアクセサリーも制作している。

 ほかにも全館を巻き込んで商品や食の販売も行われていたり、古いブラジャーやタオルを回収するサービスも行われている。
 難しいことを抜きにしても「再倖築」やロスフラワー®の作品は一見の価値ありなので、期間中に大丸梅田店に立ち寄ってみては。詳細は、同イベントサイト(https://www.daimaru.co.jp/umedamise/250820sustainable/)から確認できる。

タイトルとURLをコピーしました