ティッシュ再値上げ でも大阪は安い? 集客の目玉商品になる可能性も

 きれい好きの日本人はティッシュペーパーの消費量も世界一。しかし、このティッシュが今、再値上げに直面している。昨年に続き、大手メーカー4社は2月1日までに、15~20%以上の再値上げに踏み切る。このニュースに「また? もうご勘弁」と暗くなるのは一旦置いておき、実際の店頭価格がどう動いているかを冷静に調べてみた。加えて、値上げ報道を逆手に取った購入テクニックも紹介したい。

 上のグラフは総務省の小売物価統計調査をもとに、箱ティッシュの店頭価格がどう推移してきたかを表したものだ。1箱300~360枚(150~180組)で、読者のみなさんがいつも購入している5箱入りの箱ティッシュの価格だ。

 時系列を追うと、昨年3~4月にかけて大王製紙(エリエール)と日本製紙クレシア(スコッティ、クリネックス)が出荷額を10~15%以上値上げしたのを皮切りに、6月にカミ商事(エルモア)が15%以上、10月に王子ネピア(ネピア)15%と続いた。

 つられて店頭価格も昨年3月の全国平均354円から11月は380円と約7%上昇。しかし、出荷額の値上げ幅ほどではない。

 この理由について大手製紙メーカーの担当者は「企業間取引よりも、価格に敏感な消費者に対する店頭価格は上げづらい」と分析。

 確かに、全国平均でならせばグラフはメーカーの値上げに従順に動いているが、地域で抜き出すと変動が大きい。大阪市は昨年11月は369円で全国平均以下だ。しかもコロナ禍による紙不足のデマがSNS等を中心に広まり、全国で箱ティッシュの買い占めが起きて品薄となった2020年の方がまだ高い。

 全国の最高値は和歌山市の426円、最安は佐世保市の340円。地域間で86円も差がある。ちなみに大阪市は全国81都市中55位。21年11月も50位と全国的に安い部類に入る。

 安く買うなら箱ティッシュを客寄せの宣伝商品にするドラッグストアなども狙い目だ。「ついで買い」の宣伝費と割り切り、赤字覚悟で販売しているケースもあるからだ。

 読者のみなさんもテレビで紹介された商品が翌日、スーパーに山積みされている記憶があるだろう。同様に「再値上げ報道」でティッシュに消費者の関心が高まれば、店側は「激安ティッシュで集客しよう」と考えるのが普通だ。そう読むと、目玉商品で打ち出す店が出る可能性もゼロではない。

 実際に大手スーパーの元バイヤーは「報道にある値上げ商品は、客離れを防ぐため特売に位置づけることも」と明かす。店側の戦略を逆手に取り、「激安ティッシュ」を探してみるのもおもしろいかもしれない。