大阪市 塾代助成を小5、6まで拡大 月最大1万円 申請は1月6日まで

 大阪市が独自に実施している塾代助成事業の対象が、2023年4月から小学5、6年にも拡大される。現在は大阪市内に住む中学生の習い事や塾代を月額最大1万円助成しているが、大阪市は「子どもたちが学力やスキルを伸ばして、それぞれの夢が実現できるように後押ししたい」と拡大に踏み切った。来年度分の申請は12月1日から受け付けており、期限は23年1月6日(必着)。今回の対象拡大に合わせ4月からは「学習塾だけでなく、習い事にも利用できる制度であることがより伝わるように」(松井一郎市長)と「大阪市習い事・塾代助成事業」に名称変更する。所得制限は扶養親族が1人(世帯人数3人)の場合は360万円。

〝居場所の確保〟で子どもの可能性を

〝中1ギャップ〟の解消も期待

 塾代助成事業は教育バウチャーの一種。子育て世帯の経済的負担を軽減し、子どもたちの学力や学習意欲、個性や才能を伸ばす機会を提供するため、一定の所得要件を設け、学習塾や家庭教師、文化・スポーツ教室など(オンライン学習塾などを含む)の学校外教育にかかる費用を月額1万円を上限に助成する。今回、子どもの教育に要する費用を小学5、6年に拡大したことで、これまで経済的な理由で通えなかった世帯にとっては、「小学生のときから夢の実現へ向けて習い事をしたり、学習塾が利用しやすくなる」と歓迎する声は多い。

世帯所得と相関関係

 2012年、当時の橋下徹市長が西成区の生活保護世帯などを対象に始め、現在は家庭の所得が基準額を超えない市内全域の中学生が対象となっている。

 学校外教育費の大小は世帯所得と強い相関関係があり、学校外教育費を掛けにくい中低所得世帯にとっては歓迎すべき施策といえる。大阪市は新たな対象となる子どもがいる世帯や助成制度をすでに利用している生徒がいる世帯には申請書類を順次、送っている。これまで制度を利用していない中学生の世帯には書類を送っていないため必要に応じて取り寄せることになる。この制度では、審査のあとに届くICカードを利用先で提示すると助成が受けられる。制度に参加する学習塾やスポーツ教室なども募集している。

学校関係 予算充実!?

 小学校を卒業して中学校へ進学した際、これまでの小学校生活とは異なる新しい環境や生活スタイルなどになじめず、「中1ギャップ」に悩む子どもは少なくない。松井一郎市長は今回の助成の拡大については「体力や学力が追い付かず、『中1ギャップ』で学校がいやになるというケースも見受けられる中、そうしたリスクを抑えていく」と発言しており、習い事を通じて子どもの居場所を広げる効果もあり、子どもの可能性を広げる意味でも歓迎される。

 ただ、一方で学校関係の予算は決して十分ではない。クラブ活動の道具や古い備品、建て替えが進まない校舎、不足している教員など学校現場の整備も十分ではないのも事実で、「子どもが多くの時間を過ごすのは学校。教育分野の予算を付けるのであれば、学校関係の予算を充実させてほしい」という声にも対応は必要といえそうだ。