免震構造・再エネ活用・人材確保も視野に 全区画満床で200人以上の雇用創出
オリックス不動産が大阪府高槻市で開発を進めている大型物流施設「高槻ロジスティクスセンター」がこのほど完成し、9日にメディア関係者や物流企業向けに内覧会が行われた。現在、入居を検討中の企業は約60社150人が見学予定だ。
同センターは、地上4階建て・延床面積約6万3200平方㍍のスケールのほか、1階からスロープを使ってトラックで直接搬入できる3階フロアなど、各所で効率的な物流オペレーションとなっている。アクセスは名神高速「茨木IC」、新名神「高槻IC」にも至近という恵まれた立地にある。東西の広域配送と大阪都心部への短距離配送の双方に対応できる汎用性の高い物流拠点として、最大6区画のテナントが入居できる。稼働時には2~300人規模の雇用が見込まれており、地域経済への波及効果も期待される。
内覧会では、最新鋭の物流支援ロボットや省人化設備を多数展示。人の歩行に追従して移動する無人搬送ロボットや、ドライアイスを自動生成する冷却ベストに、自動床洗浄ロボットなどのデモンストレーションを実施。さらに、注文受付から在庫管理、出荷指示、配送手配までを一元的に制御するオールインワン型のロジスティクス・ロボットの実演もあり、訪問者の関心を集めた。
施設内には、テナント従業員のためのカフェテリアに加え、運送業者であるドライバーが利用できるシャワー付きの休憩室も完備。働く人に配慮した設計が随所に見られる。大量雇用を前提とした従業員用の駐車場(132台分)やバイク駐輪場(189台分)も整備されており、地域からの通勤にも柔軟に対応する。
加えて、BCP(事業継続計画)を重視し、施設は免震構造を採用。地下に設置された免震装置により、地震発生時でも荷物やオペレーションへのダメージを最小限に抑える設計となっている。また、屋上には太陽光パネルを設置し、CO₂フリー電力を施設内で使用。悪天候や夜間時には、オリックスからの再エネ証明付き電力に切り替える仕組みで、実質的に再生可能エネルギー100%運用を実現している。
背景には、コロナ禍以降のEC市場の急拡大や、ドライバーの働き方改革に伴う物流業界のニーズ変化がある。汎用性の高い倉庫やセンターへの需要は年々高まっており、今回のように耐震性・省エネ性を兼ね備えた最新設備は、今後の物流不動産の新しいスタンダードとなりそうだ。
オリックス不動産では今後、開発余地のある地域として堺など南大阪エリアへの展開も視野に入れており、供給の少ない地域における物流インフラ整備を加速していく方針だ。京阪神のハブとなる高槻を皮切りに、次世代型物流の流れはさらに広がりを見せる。