駅弁の老舗3社が万博に集結 あの名物弁当の〝今〟を堪能

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まねき食品×荻野屋×崎陽軒 時代と地域を超えて紡ぐ「駅弁」の魅力

当時の「駅弁立ち売り」

 「お~い、弁当!」明治時代の駅弁販売は、列車の窓越しに売る「駅弁立ち売り」スタイルだった。創業1889(明治22)年の「まねき食品」(姫路市)は、駅弁の歴史を築いた老舗として知られ、旅の玄関口で弁当を販売する光景は、同社が育んだ〝旅の文化〟の一部ともいえる。

 今回、同社は大阪・関西万博に出店中の常設の店舗に加えて6月9~15日の期間限定で、会場内ORA外食パビリオン「宴〜UTAGE〜」に全国で有名な名店とコラボ出店することが決まった。まねき食品の竹田典高社長が声をかけたのは、「峠の釜めし」で全国に名を馳せる荻野屋(群馬県)と、「シウマイ弁当」で広く知られる崎陽軒(神奈川県)だ。いずれも〝駅弁文化〟を支えてきた名門であり、地域を越えて老舗3社が万博の会場で一堂に会する企画が実現した。

左から崎陽軒の野並社長、まねき食品の竹田社長、荻野屋の高見澤社長
まねき食品竹田社長

 まねき食品は今回、初代幕の内駅弁を現代に蘇らせた「元祖幕の内」の復刻バージョンを販売。当時の駅弁には、かまぼこや卵焼き、焼き魚といった素朴ながら彩り豊かなおかずが詰められていたとされ、その当時の物を万博出店の記念として特別に復刻した。同社は「駅弁とは旅の始まりに寄り添うもの。駅弁を通して、食文化と旅情の記憶を呼び起こすような味わいを大切にしている」と思いを込める。

まねき食品、元祖幕の内駅弁

 一方、荻野屋は140周年の記念事業として関西版の釜めしをまねき食品と共同開発。本家特製の釜を使用し、具材には海鮮を中心に据え、地域性と特別感を融合させた一品に仕上げた。

荻野屋の「峠の釜めし」

 崎陽軒は、今回のために開発した真空パック仕様の「関西シウマイ」を用意。横浜の味に昆布やかつお節といった関西のだしを効かせたアレンジで、来場者の関心を集める仕掛けづくりを行う。

崎陽軒の冷凍シュウマイ
まねき食品の関西シュウマイ弁当

 かつて1970年の大阪万博では、駅弁業者は全国で400社以上あったが、現在は約80社にまで減少。今回の出店には、「駅弁」という日本の食文化を再び盛り上げたいという3社の共通した思いが込められている。「一つ一つの駅弁に込められた物語と味わい」老舗3社の競演は、駅弁文化の魅力と可能性を次世代に伝える〝食の祭典〟になりそうだ。