AIやメタバースなど先端技術を活用した防災・減災の取り組みを紹介するイベント「防災万博」(主催:株式会社Meta Heroes)が、5月28日、大阪・関西万博のEXPOホールで開催された。国内外の専門家による講演や、防災に取り組む企業・自治体の発表、AIと防災の融合をテーマにしたパネルディスカッションなどが行われ、来場者と共に未来の防災社会像を描く機会となった。
プログラムの一つ「こども防災万博 presented by Hero Egg」では、香川県の小学生10人が登壇。「共に災害に備える社会」をテーマに、地域でどう備えるか、どんな工夫ができるかといった提案を発表した。

続いて、事前に開催された「防災ピッチコンテスト」で選ばれた中学生から大学生の入賞者が登壇。震災経験を伝えるプロジェクトや、AIを活用した避難誘導システム、避難所用テントの改良提案など、現実の地域課題をふまえた、技術的かつ実践的な提案が披露された。

また、現地での参加が難しい子どもたちの声は動画で紹介され、トルコの大地震被災地やインドネシアの活断層地域、高知県の浸水想定地域などから、実体験に基づくメッセージが寄せられた。

講評に立った香川大学の金田義行特任教授は、「海外や災害リスクの高い地域からの発表には現実味があり、未来を見据えた取り組みとして意義深い」と評価。「実災害の経験は望ましくないが、メタバースを活用した災害シミュレーションなど、疑似体験を通じた学びは今後さらに重要になる」と述べた。そのうえで、「今回の発表は終わりではなく、未来への第一歩。子どもたちの声を受け止め、大人も共に備え、支え合う社会づくりを進めていきたい」と締めくくった。