英検S-CBTComputer Based Testing 二次試験なし 1日で4技能を測る 

受験チャンスの増加〝後押し〟

 本紙9月24日号の「もはや必須の英検2級」の記事で、北野高校の受験者の94%が英検2級を取得していたことを明らかにした。2021年、日本英語検定協会(英検)は受験日や形式を選べる「英検S─CBT」を導入したことで受験者数増加を後押ししている。今回は、高い英検合格率を誇る英語塾に話を聞いた。  英検S─CBT(Computer Based Testing、以降S─CBT)はPCを使用して受験する「英検」のことで、実施級は3級から準1級まで。インターネットで申し込み、受験日を選択、4技能の試験が1日で完了する。受験料は若干割高だが大阪では平日受験も可能だ。違いを表にまとめたので見てほしい。

シャイな日本人にあった試験?

 従来型では一次試験に合格すれば対面、面接形式の二次試験に進めたのに対してS─CBTはスピーキングを一番最初にテストする。ヘッドフォンを着用し、PCから流れてくる質問に対して、マイクに向かって解答していく形式だ。堺市三国ヶ丘にある「THINK FUTURE英語学院」の中村俊一先生は「対面で話すのは誰だって緊張します。初めての受験では特に…。あがり症の傾向のある子などはS─CBTの録音形式の方がいいですよね。」とメリットを説く。

英検英検S-CBT
試験日程一次に合格で2~3週間後に二次1日で試験終了
実施会場(大阪府)本会場、準会場(※1)天王寺、難波、梅田、堺などのテストセンター
実施日会場が指定する土、日 
二次試験は日曜
毎日(準1級は土、日のみ)
1日の試験実施回数1回(級ごとの指定時間)3回(準1級は1回のみ)
(午前、午後、夕方で選択可)
出願回数(1検定期間中)1回同一の級なら2回
4技能受検順リーディング→ライティング
→リスニング(一次)
合格で→スピーキング(二次)
スピーキング→リスニング
→リーディング→ライティング

SーCBTでスピーキング以外の試験で合格した場合、従来型の二次試験で不合格だった場合と同様に申請すれば翌年の同検定回分まで一次試験免除となる。どちらでも受験できるので、受験日が選べるSーCBTが便利。年度毎に4~7月(第1回)8~11月(第2回)12~3月(第3回)の検定期間がある
※1 2級~5級まで準会場で受験できる(大阪市内約40カ所)
※2 AIによる解答分析で学習者に個別最適化していくプログラムの英語学習版として同校を運営する株式会社大阪教育研究所が開発。グループ校の学習塾、立志館ゼミナールや進学塾REX、私立中高でも導入されている。

英検対策で英語力は伸びる?

 日本英語検定協会(英検)が最後に公表した英検2級の合格率(2016年)は受験生を高校生に絞ると、一次試験で34%、二次試験で80・4%。以降、上位級受験者の低年齢化が進んでいる。中村さんが続ける。「今秋、S─CBTで2級に合格した中学1年生の生徒は、4技能のうちリスニングが一番得意でした。2番目のテスト(表参照)なので集中力を保てて、高得点を得られました。」同校では小学生も同じような傾向が見られるため、長文やライティングの後は集中力が続かないため、S─CBTの方が本来の力を発揮しやすいと分析している。

 「英検マニア」と自称するアシスタントマネージャーの今井裕子さんも「英検対策は、単語力で導いていきます。Tiifa(※2)で英単語や文法を繰り返し学習し、Zoomでテストも行い、1日約100語を繰り返し覚えていきます。ライティングは特に、日本語での考え方がしっかりしているか、母(国)語の論理力が重要。客観的な視点を求められるので、講師の添削を積極的に受けてほしい。当校では英検2級、70%以上の合格率です。」とノウハウに自信を持つ。

国語の理解力が重要


▲「英検S─CBT」の特長について語る中村先生(右)とアシスタントマネージャーの今井さん=堺市三国ヶ丘の「THINK FUTURE英語学院」

 最後に中村さんからアドバイス。「日常で使う機会が少ない英語に対して、学習のモチベーションを高めるには、受験や資格試験を目標にするのが最も効率的です。英検は学校教育との親和性が高く、読み・書き・聞き・話すの4技能をはかる英検試験は積極的に活用するとよいでしょう。グローバル化する世界のビジネスシーンでは、共通語として英語を話せることが必須です。日本人の英語力はアジア29の国と地域の中で26番目。しかし、日本人の学力水準は世界でもトップレベル。だから海外留学をしても英語さえ出来れば、留学先でも上位の成績は維持できます。現代社会は科学技術によって支えられていますので、数学も理科も、情報系も日本語でしっかり! 国語(日本語)の論理的読解力や表現力が身についていると英語力も飛躍的に向上します。実際の大学入試も英検でも、深い教養がないと理解できない英語の長文問題が多出されています。英語力向上の基礎は、何といっても語彙力。千里の道も一歩から、こつこつ積み上げ、量が質に転化する経験をすると、英語力ばかりでなく自分への自信となって活きてきますよ。大学入試までに、英検準一級、もしくは、英検2級を目標に励んでください。」