政府 少子化対策プラン発表 児童手当、育休など今後3年間で集中的に

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 政府は3月31日、岸田文雄首相が掲げる「次元の異なる少子化対策」のたたき台を公表した。小倉将信こども政策担当相が記者会見で公表した。「たたき台」は、2030年代に入るまでの6~7年を少子化傾向を反転させる「ラストチャンス」と位置づけた。今後3年間で集中的に取り組む「こども・子育て支援加速化プラン」では、男性育休の取得率向上策や児童手当の支給対象の拡大、高等教育の奨学金の拡充などを盛り込む考えだ。今後は岸田首相自身を議長とする「こども未来戦略会議」を設置し、必要な財源などを議論する。政府は年金・医療・介護・雇用の4保険のうち、公的医療保険の月額保険料に上乗せする案が浮上しているという。

出産に保険適用 子育て世帯の住宅支援、住宅ローン優遇

 「次元の異なる少子化対策」を掲げる岸田首相は、出産費用を将来的に公的医療保険の適用対象とし、就労要件に関わらず時間単位で保育所を利用できるようにする制度を創設する。また、子育て世帯の住宅支援の強化として、公営住宅に優先的に入居できるよう取り組み、長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の金利優遇措置の導入も図る考えだ。

 「加速化プラン」では、児童手当の所得制限撤廃や支給対象の高校卒業までの延長、支給額の見直しを盛り込む。出産費用は現在、保険が適用されていないが、原則42万円の「出産育児一時金」を4月からは50万円に引き上げる。

 現状の働き方による「格差の是正」については時短勤務者への育児休業(育休)手当を支給する。非正規労働者や自営業者の育休についても、新たな経済支援を検討する考えだ。保育の質を改善するため、保育士1人が担当する1歳児の人数を現在の6人から5人に減らし、配置基準の改善に取り組む。

 少子化の一因になっている教育費の負担軽減については、在学中の授業料支払いを免除し、卒業後、収入に応じて返済する「出世払い方式」の奨学金制度を導入する方針。

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