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【大阪・関西万博直前】「空飛ぶクルマ」について教えて!

 大阪・関西万博で話題の「空飛ぶクルマ」。SF映画や未来を描いたアニメでは目にしたことがあっても、それは空想に過ぎなかった。しかし今、現実のものとなる日が近づいている。迫りくる未来にワクワクが止まらない・・・。見た目に車輪はなく、プロペラが付いている。「どうしてクルマなの?」「ヘリコプターとの違いは?」など、記者がその疑問を取材した。(山崎博)

 向かったのは神奈川県相模原市。ここは近未来を先取りした技術に触れられる街。例えば、リニア中央新幹線の建設が進行中で、将来的には大阪とつながる計画だ。さらに、同市は次世代のエアモビリティ「空飛ぶクルマ(eVTOL)」の事業を手がける「AirX」と災害時の応急対策などの協定を締結しており、現在はヘリコプターを活用した救援活動が中心だが、将来的には空飛ぶクルマの活用も期待されている。

 そこで、実際に「空飛ぶクルマ」の展示イベントに参加し、AirXの事業開発本部・高橋さんに話を聞いた。

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車輪がないのに、どうしてクルマ?

 この質問は多いらしい。「家庭にクルマがあるように気軽に使ってほしい」という願いから生まれた愛称だとか。誰でも気軽に乗れる空の移動手段を目指し「空飛ぶクルマ」と呼ばれているそうですよ。

ヘリコプターと何が違うの?

 プロペラがあって垂直に離発着するという点では、ヘリコプターに似ているが全く異なります。まずは電動化やローターサイズの小径化により圧倒的に静かであること。また、プロペラの数が多いので、安定性があって、狭い場所でも垂直離発着が可能となる。法改正が進めば、都市部や住宅地などでの日常的な移動手段になり、いずれ住宅やマンションの屋上が駐車場になるかもしれません。

ところで安全性は?

 ヘリコプターのプロペラが通常2個なのに対して、「空飛ぶクルマ」はプロペラの数が多い。例えば、今回展示の機体は16個あり、現在の実証実験では、万一バードストライクなどで、プロペラが6個破損したとして落ちないという。仮に1個のプロペラが故障しても自動で安全な場所に戻るという。さらに、自動運転だとAIで最適ルート、安全な飛行が選択されるので、私たちが運転している自動車のような人的ミスによる事故は減り、より安全になると考えられているそうです。

運転免許は必要? 不要?

 この自動運転のタイプに関しては、操作レバーがなく、モニター画面だけが搭載されている。乗り込む人が操作する必要がないので操縦免許は不要だ。

 実際に中に入ってみると、操縦席がない分、広々とした空間が広がっていた。この機体は、現在日本国内で最も多く実証実験が行われているモデルで、法改正が進めば2030年の本格稼働を目指しているのだとか。

どのような活用になっていくの?

 過疎地や離島での交通手段や、災害時の救援物資輸送、被災者搬送といった緊急対応だけでなく、都市部での移動手段として渋滞解消も期待されています。将来的には、個人の移動手段としても考えられているが、まずは観光分野での活用から想定されており、「絶景体験ツアー」などで身近になる可能性が高いようです。

いつ稼働するの?

 今回は、AirXが開発する「EH216-S」について取材した。この機体は、最大重量220㌔、飛行距離35㌔㍍、最高速度時速130㌔で、パイロットレスの自律飛行が可能。価格は約6,000万円で、他社製品が億を超える中、比較的低価格となっている。その理由を尋ねると、中国では既に認可が下り、中国国内では2025年夏頃を目途に本格的な運航が始まると見込まれているそうだ。これに伴い、大量生産が進み、コスト削減が実現しているという。

 一方、日本では法改正が必要で、自動運転中の事故責任の所在など課題が多い。日本での運航は2030年頃と予測され、中国に比べ5年ほど遅れる見通しだ。それでも「空飛ぶクルマ」がもたらす未来は間近に迫っている。期待せずにはいられない。