永藤英機堺市長にインタビュー
大浜北町市有地活用事業や次世代都市交通の導入へ向けた整備などで今、注目を集める堺市。「先人が築き上げた歴史を受け継ぎ、未来に成長できる都市に」とビジョンを掲げる永藤市長に、これからの街づくりについて、話を聞いた。
―堺旧港エリアの開発に期待することは
戦国時代には南蛮貿易など海外との交流拠点として、明治から大正時代にかけては、関西を代表するビーチリゾートとして栄えるなど、堺は海とともに発展してきた都市です。しかし、現代においては海とのつながりをなかなか実感できない状態が続いていました。
現在は、堺旧港を効果的に活用して、堺のベイエリアの魅力を高める取り組みを積極的に進めています。ハード面では、海に面したバリアフリーの歩行者通路(デッキ)やホテルの建設、ソフト面では、海を感じられる魅力的なイベントや海を眺めながらレストランで食事ができるなど「ここでしか得られない体験」を提供します。堺旧港の夕陽は非常にきれいなのでぜひ一度見ていただきたいですね。
また、堺旧港から大阪・関西万博の会場となる夢洲への航路も計画中です。片道30分ほどでアクセスできるので非常に便利なのですが、歴史ある堺を船で出港し、大阪湾を通って「夢の人工島」を目指す航路は、単なる移動ではなく「アトラクション」と捉えることもできます。
神戸の「モザイク」のように、海に面したロケーションを生かしてエリアの付加価値を高め、堺旧港エリアを堺を代表するスポットにしたいと考えています。
―SMI(堺・モビリティ・イノベーション)は市長肝いりのプロジェクト。SMIを導入する目的は
「堺のイメージは?」と聞くと、多くの方が歴史や文化を挙げられると思います。逆に言えば、今の堺、未来の堺のイメージを描き切れていないのではと考えています。先人から受け継いだ歴史を未来につなげ、これからも成長できる都市にするのが私の使命です。SMIプロジェクトは、堺の「未来へのビジョン」を示すプロジェクトの一つです。最新技術を搭載した自動運転の車両が都心部を走行するのは、全国でも珍しい事例となります。バリアフリーに配慮し、ベビーカーや車いす、または障がいのある方など、全ての人が安全・快適に移動できるモビリティの実現を目指します。
また、歩行者と公共交通を中心とした「ウォーカブルな街の形成」も大きなポイントです。特に大小路交差点は、100年を超える歴史を誇る大阪唯一の路面電車「阪堺電車」と最新技術を搭載したART(次世代都市交通)の結節点となります。阪堺線が通る大道筋を「歴史軸」、SMI都心ラインが通る大小路筋を「未来軸」として道路空間のにぎわいを創出し、さらに魅力ある都心部にしたいですね。
―堺市での暮らしを検討している人に、メッセージを
まず、大阪都心部への交通アクセスが優れています。南海本線「堺」駅からなんばまでは10分強。さらに、2031年に開業予定のなにわ筋線で、南海本線「堺」駅から梅田や新大阪に直結する見込みなので、堺市としても大きな期待を寄せています。
また、歴史や文化、伝統産業が今も色濃く残っていることも魅力です。おいしい飲食店や和菓子店などをたくさん巡っていただきたいですね。そして、堺の人は面倒見が良い方が多い。私も子どもと遊んだり、出かけたりすると気軽に話しかけてくださり、堺の人の温かさに触れる機会が多くあります。程よい人とのつながりがあり、地域全体で子どもを見守り、育ててもらっていると実感できます。
これからも市民の皆様が安心して暮らし続けることができ、そして、将来に夢と希望が持てる都市であるよう邁進します。