文楽と講談が吉本新喜劇と初コラボする「伝統芸能新喜劇」が10月22、23日、大阪・森ノ宮のクールジャパンパーク大阪(CJPO)SSホールで開催されることになり、主演の内場勝則・新喜劇元座長や文楽、講談の出演者が台本・演出担当の久馬歩(「プラン9」お~い!久馬)と共に記者会見して抱負を語った。
まだ台本も完成前とあって、内場は「〝何でもアリ〟の新喜劇ですけど、伝統芸能は難しいイメージで未知の世界。どうなって行くのか僕らが一番分からない。まぁ作家次第ですね」と手探り状態。久馬は「実は10年ぐらい前に一度コラボ話しがあったけど実現しなかった。今回初めてですけど、予期せぬ化学反応が起きてくれれば」と期待。現時点のあらすじは、ある寂れた商店街が舞台。生成AIがブームになる中、逆手を取って〝古典スタイル〟での復活劇を目指し、文楽や講談に目を付け…という内容。共演には内場の妻・未知やすえをはじめ、今別府直之らを予定している。
文楽からは太夫・豊竹芳穂太夫、三味線・鶴澤友之助、人形遣い・吉田玉翔が出席。玉翔はお染・久松として知られる「新版歌祭文」のお染人形を手に「文楽人形は1体を3人で扱うのですが主遣い(頭と右手)になるまで時間が掛かる。だから若手がなかなか入ってこない。こういう機会に文楽の面白さを若者に知ってほしい」と説明。友之助は「文楽は江戸時代の大衆芸能。三味線のバチで乳首ドリルするのはどう?」と楽しそう。芳穂太夫は「文楽ではわれわれ太夫が唯一しゃべる役柄。新喜劇の台本をしゃべってみたい」と抱負。講談から参加する玉秀斎は「玉田家は新作創作を得意としてきた一門。見台をパンパンとたたく張り扇が唯一の小道具なので、これを生かして何かやりたい」と意気込み。
コラボを企画したCJPO片岡秀介社長は「文楽はいろいろな場で公演され海外の評価も高い。常に新しいものを取り入れている吉本新喜劇としてはコラボすることで伝統芸能を支援し、芸の幅を広げていきたい」と趣旨を話した。吉本興業は来春開幕の大阪・関西万博に自社パビリオン設置が決まっており、この興行が成功すればインバウンド需要に向け、万博時期のコラボ公演も視野に入ってくる。
(畑山博史)