在宅勤務の普及で「働けない人」が働けるように

 「通勤が難しい」という理由で就業が困難なことが課題にある重度身体障害者。スタッフサービス・クラウドワークでは、完全在宅による勤務形態を確立することで、重度身体障害者を専門にした雇用を実現している。

自分のペースに会った働き方

 同社で勤務するスタッフは、200パターン以上あるシフトの中から自分自身に合うシフトを選択するため、生活介助や通院を考慮しながら勤務することが可能。業務もチーム単位で分担して行うため、それぞれの体調やペースの波に合わせて業務を進められる。保健師がオフィスに駐在しているのも安心だ。業務はグループ会社から在宅でできる業務を請け負い、各チームに割り振る形で実施している。
 さらに、テレワークという働き方をより良くするための工夫がなされている。

普段顔を合わさないからこそ大事な「入社式」

 同社では年に数回、随時で入社式を行う。「入社後は完全在宅で勤務するので、顔を合わせる機会は、入社式と、年に1回の交流会だけ。なので、この機会は大事にしています」とエリア統括部の酒本速男さんは語る。

 入社式は、各所からの挨拶の後、先輩社員からのビデオメッセージや自己紹介、チームビルディングなどのプログラムが組まれている。
 6月3日の入社式に参加した小野拓真さん(24)は、「まさか自分が就職できると思っていませんでした。在宅で仕事ができるという理想の働き方ができてうれしいです。早く仕事に慣れたいです」と語った。

在宅勤務の課題を解決

 在宅勤務の大きな課題のひとつが「コミュニケーション不足」。同社は在宅専門だからこそ、在宅勤務の課題解決の仕組みづくりにも注力している。
 例えば毎日就業中3回、毎回20分のミーティングを必ず設ける。内容は業務の進捗確認と体調確認、そして雑談。「雑談は大事にしていますね。日頃のコミュニケーションが良好に保てることで、例えば体調の細やかな変化や仕事の進捗の良し悪しに気づきやすくなります」と酒本さんは話す。何でも言いやすい空気感を作ることで、報告や相談などの自己発信も行いやすい。

 在宅勤務という働き方を広めたい、というミッションを掲げる同社。在宅勤務そのものについて広く認知してもらうべく、お仕事体験会の実施やハローワーク、就労支援機関や特別支援学校との連携も強めているという。同社の取り組みは、多様性の推進や、働き方の見直しがされる現代で、「実際にどう実現したらいいか」と悩む事業者にとって、参考になるだろう。

■取材協力:スタッフサービス・クラウドワーク