今年4月から、両親や親族などから不動産を相続・譲渡する際、不動産の名義を変更するために「相続登記」の義務化が施行された。スマホを活用する高齢者も増加している今、あらためて「デジタル遺品」の扱い方が相続に大きく影響している。死後、大切な人を困らせないためにも「デジタル終活」が大切だ。
国内でのスマートフォン(スマホ)の普及率が8割を超えている。スマホを活用する高齢者も増加し、近年、故人のパソコン(PC)やスマホのパスワードがわからず、アクセスできない「デジタル遺品」が、問題になっている。
「デジタル遺品」を把握するには、故人のPCやスマホへのアクセスは必須だが、「パスワードがわからない」と慌てるケースも多い。故人のパスワードが分からない場合には、データ復旧サービス業者に依頼すれば、PCのロックを解除してくれるというが、「最新のスマホだと、解除できないケースも多い」という。
相続の場面においては、特に注意が必要だ。故人がPCやスマホを利用しFX取引や株式投資を行っていた場合、株式投資であれば、損をしても資金が0円になるだけだが、FXなどのデリバティブ取引の場合はマイナスになる可能性がある。
「今ではデジタル機器に個人の生前の情報が集約されている。そこにアクセスできないと故人の生前の活動についてわからなくなってしまう。若い人は、写真撮影もお金もサブスクリプションサービスの管理もスマホで行っている人が多い。『デジタル遺品』の把握は重要です」(デジタル遺品に詳しい弁護士)。
いわゆる『終活』は、高齢者が行うものというイメージがあるが、『デジタル終活』は、年齢に関係がない。PCやスマホなどのデジタル機器を使いこなしている若い世代こそ、万が一の際に家族を困らせないためにも、今やっておくことが賢明だ。