進化がすごい「冷凍食品」 冷凍技術の進歩、調理への強いこだわり

 「冷凍食品って、なんとなく手抜きっぽさがある」、かっての冷凍食品はこんなイメージだったが、最近の冷凍食品は「冷凍技術の進歩」と「調理へのこだわり」から進化がすごい。コロナ禍で自宅での時間を楽しむ過ごし方が定着した昨今、家での食事時間を大切にする傾向が高まっている。購入者らは「冷凍食品であれば料理の手間が抜けて、好きなときに食べることができる」と売上も好調だ。

冷凍食品=「手抜き」じゃなくて「手間抜き」

食卓を楽しくするアイテム

 一般社団法人「日本冷凍食品協会」は今年2月、「冷凍食品の利用状況」の実体調査を実施した。それによると、男女ともに若い層でヘビーユーザーの割合が高く、男性の3人に2人が自分で調理をしていた。約4割が「おいしい商品が増えた」と回答。売り上げも2010年の6284億円から21年は7371億円に増えている。

 実際、冷凍技術の進歩や多彩なラインナップの冷凍食品が展開されたここ数十年で、味はもちろんジャンルも豊富で選ぶ楽しみも増えている。毎日の食卓に取り入れても違和感がない。

 味に対するネガティブなイメージだけでなく、少し前までは冷凍食品を使うと「手抜き」と言われていた時代があったが、今や冷凍食品のクオリティは高い。なぜ、冷凍食品がおいしくなった、と感じるのか。

 まず「冷凍技術の進歩」と「調理へのこだわり」が挙げられる。最新の冷凍技術「CAS冷凍」は細胞膜を傷つけずに冷凍できるので、水産物は「鮮度が違う」と評判だ。「プロトン凍結」は細胞内の氷の結晶が小さく留められるため、解凍しても風味が損なわれないと肉、魚などの生鮮食材や寿司、調理食品に対応。有名デパートやそうさい、弁当などにもこの技術が使われている。

 冷凍食品は超低温で瞬間冷凍することでおいしさを閉じ込めているため、この冷凍の技術が進歩したことで作りたての状態をそのまま再現できるようになった。さらに味のこだわりも各社がしのぎを削ることで進歩している。味のクオリティがどんどん上がってきた。

ライフスタイル変化とコンビニ冷食の登場

 さらに冷凍食品の進化には社会情勢の変化が影響している。現在では「共働き家庭」が増え、「お互い忙しい中で、食事の中に冷凍食品をうまく取り入れています」という家庭が多い。需要が高まれば、当然、各社からユニークな商品が生まれるようになった。さらに、スーパーなど量販店に置いてある家族向けの冷凍食品以外にもコンビニが自社ブランドで冷凍食品を売り始めたことで、一人暮らし層の目にも留まるようになった。

 「コンビニ冷食」という新しいジャンルが生まれたことで、それまでターゲットではなかった男性層にも一気に広がった。

最新冷凍技術で本格わら焼きを提供


▲急速冷凍機を紹介する御代谷さん=「わら焼き専門店いやさか 大阪吉野工房」


▲最新冷凍技術で真空パックされた「一本釣戻りかつおわら焼きたたき」を紹介する店員=「わら焼き専門店いやさか 大阪吉野工房」

 福島区吉野の新橋筋商店街5番街に「わら焼き専門店いやさか 大阪吉野工房」が昨年9月、開店した。海鮮料理は最新冷凍技術で真空パックされた冷凍商品で店頭とネットで本物の味を提供している。

 濃厚な旨(うま)味と、食欲をそそる香ばしい香りが特徴の「一本釣戻りかつおわら焼きたたき」は名物で人気商品だ。脂がのって、旨みが凝縮している、戻りかつおを使い、わら焼きは長野県の稲わらを使用している。「自家製やみつきかつおたいたん」や「香川県産讃岐サーモンわら炙(あぶ)りお刺身」、「北海道産ジャンボ帆立わら炙りお刺身」などの海鮮料理は、全て真空パックされた冷凍商品。店主の御代谷慎二さんは「急速凍結することで、食材の細胞が破壊されにくいため、素材の味を守ることができます。解凍するだけで、家で本格的なわら焼きが食べられます」と話している。

わら焼き専門店いやさか 大阪吉野工房

【問い合わせ】
電話06(6441)5500
 shopmaster@
 iyasakanetshop.com

阪急百貨店に高級冷食店登場

 昨年6月、「阪急うめだ本店」(大阪市北区)にデパ地下の総菜売場に初出店したのが、高級な冷凍食品の新ブランド「Z’s MENU(ジーズメニュー)」。オープン以来、年配からグルメな男性に人気だという。

 同ブランドは、1000円~2000円台を中心に「日本最高峰の冷凍食品」を謳い厳格な自主基準で品質も追求。化学的合成添加物や遺伝子組み換え原料は使わない。ミディアム・レアに焼き上げたステーキ、具だくさんでボリューミーなかき揚げ、台湾料理のルーロー飯など、和洋中韓の25種のメニューをそろえている。リピーター客の年配男性は「家でも外食気分で贅沢な食事に仕上がる」と話している。


独り身オジサン記者厳選!!オススメ冷凍食品


▲日清「焼そば スパイシーソース」


▲オーマイ「彩々野菜ペペロンチーノ」


▲テーブルマーク「あさりごはん」

 味、価格、手軽さなど総合的に考えると、日清「焼そば スパイシーソース」がお勧め。インスタント焼そばには出せない麺のモチモチ感に加えて、野菜も肉も豊富に入っていて、ボリュームも万点。

 「彩々野菜ペペロンチーノ」はスナップえんどうやブロッコリー、キャベツ、揚げなす、ピーマンなどたくさんの野菜が入っている。一人暮らしで栄養が偏りがちな人におすすめだ。

 テーブルマーク「あさりごはん」は手軽に味ごはんが食べれる。筍(たけのこ)やインゲン、油揚げなどが入っていて、食感もいい。あさりの旨味もしっかりごはんに浸透しているのでおいしい。

 このほか、濃厚な牛乳のコクが堪能できるニチレイ「蔵王えびグラタン」は、宮城県にある蔵王酪農センターから直送の牛乳を使用。ミルクのおいしさ、なめらかさがしっかりしている。チーズも複数種類を使っているので、味に深みがある。さらに焼き目の香ばしさもしっかり感じられる。

 冷食の弱点を長所に変えたのが、ニチレイ「たれづけ唐揚げ」。「揚げ物」は、電子レンジ調理だと、どうしてもカラッと仕上げるのは難しいが、この商品はたれづけなのでカラッとさせる必要はなく、濃い目の甘酢だれなので、ご飯が進む。