【外から見た日本】ベンチャービジネスとベンチャーキャピタル

Spyce Media LLC 代表 岡野 健将

Spyce Media LLC 代表 岡野健将氏

 日本では投資というとギャンブルだとか危ないとかいうイメージを持つ人が多いのではないだろうか? そんな日本とは対極にあるアメリカでは、個人資産における貯蓄の割合は15%以下で、約半分は投資に回されている。その中でも日本と最も違うと感じるのは、ベンチャービジネスへの投資であり、ベンチャーキャピタルの存在だ。

 ベンチャービジネスは、日本でも良く聞く言葉ですが、Venture Business(VB)が「ベンチャービジネス」になると意味も大きく変わります。VBとは、急成長するビジネスの事でその成長率は前年対比で 100%以上であったり、◯年以内に全国展開する事業計画を実行する、という様な超成長志向で、それを実践していなければVBとは言いません。

 成長が止まったり極端にそのスピードが落ちれば、それはただのBusinessです。またVentureと言う場合、急成長もするが失敗するリスクも高いハイリスクハイリターンのビジネスを指します。

 そのVBへ投資するのがベンチャーキャピタル。こちらも英語が片仮名になると、その意味が変わります。Venture Capitalは、過去に起業家としてビジネスを立ち上げて、成功を収めた経営者であり、実業家達です。ビジネスアイディアを考え、仲間を集めて会社を起こし、投資家を口説き落として資金を得て、ビジネスを成長させて、最終的に売却したり株式公開によって莫大な創業者利益を得たりして、その資金を元にVBに投資をしています。

 Venture Capitalは彼らの経験や実績があるからこそ、世界中から集まる投資案件から投資先を選び、投資し、成功に導く事ができるのです。とは言ってもハイリスクハイリターンのVBへの投資なので、一般的には成功する確率は1割程度で、彼らはネットワークやリソースをフル活用してその率を向上させようとしています。

 過去に成功を収めた人たちが、リッチになったからと言ってそのままリタイアせずに、自分の資産をリスクのあるVBに投資する理由の一つは、自分も誰かに投資してもらって成功する事ができたので、今度は自分が投資する番だと思うからです。自分が受けた恩を次の世代へ繋げていく。そう言う事が何世代にも渡って行われているのです。

 VBというものの難しさやリスクを理解した上で、自分の責任と判断で投資をする。単純な事ですが、それ相当の覚悟と自信がないとできない事でしょう。まさしく、今の日本人には不向きな行為ですね。

【プロフィル】 State University of New York @Binghamton卒業。経営学専攻。ニューヨーク市でメディア業界に就職。その後現地にて起業。「世界まるみえ」や「情熱大陸」、「ブロードキャスター」、「全米オープンテニス中継」などの番組製作に携わる。帰国後、Discovery ChannelやCNA等のアジアの放送局と番組製作。経産省や大阪市等でセミナー講師を担当。文化庁や観光庁のクールジャパン系プロジェクトでもプロデューサーとして活動。一児の父。