昨年11月2日小腸がんで死去した大相撲・前高砂親方(元大関・朝潮)の長岡末弘さん(67)のお別れの会がこのほど、大阪市内のホテルで開かれた。約300人が出席。近畿大出身で同親方自身が「第2の故郷」と呼んでいた大阪で、ファンが別れを惜しんだ。
高知県室戸市出身で、学生時代は3、4年生時に学生横綱、アマ横綱を連続獲得しプロ入り。4代目朝潮太郎として三賞14回、金星5個を獲得し大関に昇進、幕内優勝1回。おおらかな性格と親しみやすいキャラクターから「大ちゃん」の愛称で、コミック漫画のキャラクターにもなった。引退後は7代目高砂浦五郎親方として高砂部屋を継承。横綱朝青龍から大関朝乃山まで多くの弟子を育てた。
この日は野田義和・東大阪市長、細井美彦・近大学長が弔辞、妻の恵さんが「主人は近大相撲部で本格的に相撲人生を始め、大阪の多くの関係者やファンの皆様に育てていただきました。相撲協会定年のパーティーも朝乃山大関昇進のパーティーも、コロナ禍で開催できなかったので〝体調がよくなったら、必ず皆さんと直接お目に掛かってお礼を言いたい〟と申しておりました。残念ながら果たせず亡くなりましたが、本日はこの会場に来て皆様に親しくお礼を申し上げていると思います」と涙ながらに感謝の言葉を述べた。
献花では、近大相撲部後輩の日本相撲協会・伊勢ケ浜理事(元横綱旭富士)や元大関で幕内優勝経験もある平幕力士・朝乃山、当代の高砂浦五郎親方(元関脇朝赤龍)、伝統河内音頭継承者・河内家菊水丸らが菊の花を次々に遺影に手向けた。
懇親の会場には、長岡さんの現役時代の化粧まわしや新聞雑誌の記事や写真が展示され、本人の等身大パネルも登場。朝乃山は「先代師匠も僕も大阪が第2の故郷。先代師匠も僕も大阪での春場所で大関昇進を決めた。思い出はいっぱいあり過ぎる。今年の春場所はようやく幕内で帰って来ることができたから、もう一度大関目指して頑張るしかない」と口元を引き締めた。
(畑山博史)