小学生の不登校は約10万人 保護者も苦悩 〝子育ては一人ではなく、みんなに手伝ってもらってよい〟

山本晃平さん(右) 6年間中学校社会科教員として従事。子ども一人一人の特性を生かした教育をするために昨年、デイサービス業に転職

 近年の社会問題として「不登校」が挙げられている。2022年度の小学生の不登校者数は10万5,112人。小学生の不登校者数が3万5,032人だった2017年と比べても3倍ほど増加している。「わが子が不登校になってしまった…」「多少無理してでも行かせた方がよいのか…」と、関わり方に悩む保護者が増えてきているという。今回はこの社会問題に対して、福島区海老江にある子ども向けデイサービス施設「ワンスタット海老江」を営む山本晃平氏に話を聞いた。

 「学校は、来たくなければ来なくてもいい」 山本さんはこう話す。

 「学校に行くことがゴールではありません。18歳を過ぎて社会に出るときに親元を離れ一人でも生きていけるような人材に育つことが教育の目的です。1人で生きられる、社会的に必要なスキルは、『目を見て挨拶ができること』『自分の思い、考えを話せること』『わからないことをわからないといえること』の3つが大切だと考えています」

 これらのスキルを子どもが習得するためには、周りの人の関わり方が鍵となる。人は目を見て話を聞いてくれる相手であれば自分の思いや考えを話したい、わからないことを聞きたいと思えるからだ。つまり学校でも家庭内でも、社会的に必要なスキルを習得することは可能である。
 家庭内での子どもとの関わり方について、具体的な例を考えてみよう。我が子の思いがけない行動に、「やめなさい!」と怒ってしまった日があるとする。それでも、少し冷静になった後に「さっきはごめんね。どんな気持ちでそんなことしたの?」と、子どもの声に耳を傾けることが重要だという。

 「子どもにとって、身近でかつ重要な成功体験の一つが〝大人に話を聞いてもらえたこと〟です」と山本氏は話す。それが「このままでいいんだ」と安心できる一番の理由になる。

 保護者も子どもとのコミュニケ―ションのとり方がわからない場合が多い。同所への相談者は増加傾向だという。山本さんは「保護者も一人で悩まず、ぜひ相談にお越しください。〝子育ては一人ではなく、みんなに手伝ってもらってよい〟」と励ましている。

■ワンスタット海老江/大阪市福島区海老江6丁目7−12 ルミエール海老江2 202