【シニアの職場拝見】世界トップシェアの工場で輝くシルバー会員

リサイクルを目的に、プラスチックケースから紙箱を取り出す井上さん

 「人生100年時代」―。健康寿命を延ばすには、地域社会や人と交流し、生きがいを持って暮らすことが重要だ。60歳以上のシニア世代がいきいきと働ける機会を提供する、門真市シルバー人材センターの会員を取材した。

 機械や設備の回転に欠かせないベアリングは大小2つのリングの間に複数個の「鋼球」を挟んで回る仕組みになっている。その鋼球の生産において世界トップシェアを誇るのが門真市上野口町1丁目にある天辻鋼球製作所。同社工場の4階では納品先から戻ってきたプラスチックケースと紙箱を分別し、再利用するために常時8人ほどのスタッフが従事しているが、そのほとんどが同センターの会員だ。

 「日本全国のあらゆる工場からここに戻ってきたと思えば感慨深いね」と話す井上光臣さん。このフロアで働くシルバー会員で一番の古株だ。慣れた手つきで、プラスチックケースから紙箱を取り出し、再利用できるものとできないものに分別する。油や水の汚れを拭き取ったり、鋼球の重さでケースの底が変形している場合は機械を使って元の形に戻していく。
 「働くことは生活にメリハリが出るし、稼いだお金で孫にプレゼントを買ってあげるのが楽しみです。そうしたことで、楽しく長続きしていると思います」と笑顔を見せる。

 井上さんに次いで長く働いているのがK.Kさん。「年金だけで暮らせたらと思っていたけど、現実は厳しい。でもこの仕事のおかげで少し余裕が生まれました」と話す。加えて、職場の人間関係の良さを強調、「人生経験が豊富なシルバー会員が中心になっているので仲間意識があって働きやすい。この年になっても社会に貢献できることはありがたいですね」とにっこり。

紙箱を分別する作業を黙々と行うK.Kさん

<取材協力>公益社団法人 門真市シルバー人材センター/門真市中町1-1/電話06(6905)5911