学校給食事業などを運営する「ホーユー」(広島市)による学校や寮などの食事が突然停止した問題は、大阪の学校にも影響が及んだ。府教育庁によると、給食が停止したのは吹田、摂津、守口の3支援学校。いずれも学校側が調達した食材をホーユー側が校内で調理していた。ホーユーは府立高13校の食堂も手掛けている。
吉村知事は「連絡もなく、給食の提供が中止になり、事業者に対し非常に残念。速やかに給食を再開したいるので、代替の事業者確保に動いている」と述べた。
「企業努力の限界を超えた」学生食堂、業者の撤退相次ぐ
安くておなかいっぱいご飯が食べられるた学生食堂(学食)の運営が厳しさを増している。少子化やコロナ禍で業者の採算が取れず、撤退するところが増えてきた。後継が見つからず、新たな手を打つ学校も出ている。府立桜塚高校(豊中市)の食堂を運営してきた永和食品(大阪市淀川区)も「企業努力の限界を超えた」として今年6月28日、同校から撤退した。
入札が多く、価格転嫁が難しい
アフターコロナに向けた行動制限の緩和などで、学校や事業所、高齢者福祉施設などで給食需要が高まっている。一方で、食材や人件費、エネルギー価格の高騰が事業者に重くのしかかっている。
資金力に乏しい中小企業はコスト負担に耐えられず、業績悪化から廃業や倒産に追い込まれている。
コスト負担に耐えられない中小給食業者
信用調査会社「帝国データバンク」が国内で社員食堂や学生食堂の運営、給食サービスを提供する企業を調査した。この結果、2022年度の利益動向が判明した374社のうち、34%にあたる127社が「赤字」運営だった。前年度から「減益」となったケースを含めると、全体の6割超で業績が「悪化」した。
給食事業では、特に学校給食などで民間に委託する自治体が増え、給食需要は引き続き拡大傾向が続いている。一方で、中小の給食事業社は「入札に参加する業者も増え、価格面で競争が激化している」と訴える。
加えて、生鮮食品や加工食品を含めた食材価格の高騰、調理スタッフや栄養士などの人手不足による人件費、原油価格上昇による光熱費の上昇が響き、当初の契約金額では賄いきれず利益面で悪化する事業者が多くみられる。
同社が今年7月、「価格転嫁の動向」(回答を得た20社)について調査した結果でも、15%が「まったく価格転嫁できていない」と回答した。価格転嫁ができた企業でも、「20%未満」(35%)や「50%未満」(15%)にとどまる企業が多かった。
事業者と委託側との緊密な連絡が不可欠
多くの業者からは「値上げしたが、仕入れ商材が相次いで値上げするので、当初予定していた価格では十分カバーできない」「値上げは数年に一度など制限が設けられており、合意手続きが複雑」などの声が聞かれた。
今後、混乱を起こさないためには、事業者と委託側との緊密な連絡が不可欠との声も上がっている。