コロナワクチン接種から5年、続く問題提起 健康被害報告は「氷山の一角」か

 新型コロナワクチンの接種開始から5年以上が経過した現在も、接種後の健康被害や救済制度などを巡る問題は続いている。8月には大阪で、健康被害を訴える当事者らによる記者会見や医師らによる街頭演説、健康や食について考えるイベントが相次いで行われた。 (加藤有里子)

予防接種健康被害救済制度の課題などについて訴える関西学院大の安岡教授(右)、長月さん(右から2人目)ら=8月18日、大阪府庁

府庁で救済制度の課題訴え

 8月18日、関西学院大の安岡匡也教授らが大阪府庁で記者会見を開き、予防接種健康被害救済制度の課題や、接種後に体調を崩した人への支援のあり方について訴えた。
 同制度は予防接種で健康被害が生じた場合、医療費や医療手当などを給付する仕組み。安岡教授は「申請にはカルテをはじめ多くの資料を本人が集める必要があり、体調を崩した人にとって身体的、金銭的な負担が大きい」と指摘する。
 不支給処分に対する審査請求は市町村に対して行う一方、接種と健康被害との因果関係について審査するのは国であることから、申請者が国の判断そのものを直接問うことが難しいとして制度の見直しを求めた。
 会見には、東大阪市の長月凛さんも出席した。長月さんは新型コロナウイルスに感染後、約1カ月にわたって発熱や関節痛、倦怠感などが続き、医療機関を受診。その治療の中でワクチン接種を勧められたという。2回目の接種後から、あざや手指が曲がらない症状、視力障害、半身まひ、排尿障害など、さまざまな不調が現れたと訴えている。さらに、アルコールアレルギーや化学物質過敏症に見まわれるなど、現在も複数の症状を抱えて治療を続けている。
 東大阪市に予防接種健康被害救済制度を申請したものの不支給となり、現在、審査請求を行っている。会見当日の午前には、不支給処分に対する口頭意見陳述が行われた。

梅田で街頭演説

 同日、大阪・梅田では、新型コロナワクチンを巡る街頭演説が行われた。元衆議院議員秘書でコロナワクチンについて調査・情報発信を続ける藤江成光さんをはじめ、大阪市立大医学部の井上正康名誉教授、長尾和宏医師らが参加。コロナワクチン接種後の健康被害や、医師から国に寄せられた副反応疑い報告などを挙げ、「把握できている被害は氷山の一角」と市民に訴えた。

食や健康テーマにイベント

 食や健康、暮らしについて考えるイベント「THEFACTS」も8月30日、グランキューブ大阪(大阪市北区)で開かれた。会場にはオーガニック食品や飲料、クラフト製品などを扱うマルシェが並んだほか、健康や食、農業などをテーマにした講演が行われた。
 講演は4本立て。初めに児玉慎一郎医師が登壇。コロナ感染患者の受け入れ病院として、また、自宅待機を余儀なくされた患者に対し、保健所と連携しながら訪問診療を行ってきた経験や、治療に関する学術的な取り組みについて講演した。
 続いて、同イベントの主催者で精神医学アナリストの小倉謙さんが精神医療の現状について講演したほか、自然食品を取り扱うオルター(南河内郡千早赤阪村)の西川榮郎さん、日本維新の会の議員で薬剤師の伊庭聡さん、映画監督のなるせゆうせいさんによるトークセッションも行われた。
 最後に、泉大津市の南出賢一市長が登壇。市独自の新型コロナワクチンに関する施策や、「農と食と健康を守る取り組み」について紹介した。

予防接種救済制度 認定は9500件超

 コロナワクチンの接種開始から5年以上が経過した今も健康被害を訴える人への救済や支援、副反応を巡る情報の検証など課題を指摘する声は続いている。大阪で相次いだ記者会見や街頭演説、イベントも、接種後に残された問題について改めて考える機会となった。
 8月31日現在、予防接種健康被害救済制度に基づき、新型コロナワクチン接種後の健康被害として認定された件数は9502件。うち、死亡が認定された件数は1078件に達している。

泉大津市での独自施策について説明する南出市長=8月30日、大阪市北区のグランキューブ大阪
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