後継者不在で2022年度に倒産した企業は過去最多の487社。後継者不足が深刻な問題となる中、帝国データバンクが6月15日、全国の「社長年齢」についての調査結果を発表。22年時点で平均年齢は60・4歳となり、32年連続で上昇した。
社長が引退する平均年齢については68・8歳で、70歳を目前に交代している傾向が見られた。
日本企業の社長は年代別で分けると、どのような構成比になっているのだろうか。それを視覚的に表しているのが左の円グラフだ。50歳以上が8割を占め、17年からは3ポイント上昇。うち80歳以上も1・2ポイント増えて5%となり、社長の高齢化が進行していることがうかがえる。反対に40歳未満の若い社長は3・3%にとどまり、17年よりも0・9ポイント減らしている。
業種別の高低差はどうか。最も高かったのは「不動産」の62・5歳で、約10人に1人が80歳以上という結果だった。なかでも「土地賃貸」が66・6歳と高い。この理由について、大手住宅販売会社の幹部は「土地賃貸はバリバリ経営していくというより、地主などが不労所得を得る資産運用の側面がある。その中で、所得税を圧縮したり、経費を使えたりするメリットから法人化するケースは多い」と話す。
一方で、社長が最も若かった業種は「サービス」の58・9歳。いわゆるIT企業の中でも若手起業家が多い「パッケージソフトウエア」が56・1歳と、全体(60・4歳)を大きく下回った。また、上場企業の社長の平均年齢は58・7歳で、最年少はVTuberグループの運営などを手掛けるANYCOLOR(東証プライム上場)の田角陸社長(22年当時27歳)だった。
最後に、社長の平均年齢を都道府県別に見てみよう。最も高かったのは秋田の62・4歳で、岩手、青森、高知と続く。一方、最も若いのは三重の59・1歳で、沖縄、滋賀と続く。大阪も59・6歳で全国42位と若い方に入る。帝国データバンクの旭海太郎さんは「大阪は長らく40位台。大都市圏は比較的若い傾向にある」と話している。
日本企業で進む社長の高齢化。同社が集計した22年度の後継者不在による倒産の主な要因では、「代表者の病気・死亡」が占める割合が47・8%にのぼっている。
同社では「中小企業庁の事業承継ガイドラインで、事業承継の構成要素として主に〝人・資産・知的財産〟があげられているが、それらを短期間で後継者に引き継ぐのは難しい。バトンタッチの時期を見据えながら、時間的余裕を持った事業承継を進める必要があるだろう」と分析している。