大阪で街ロケ「ふくあじ旅のススメ」の収録に密着取材 小山薫堂×モモコ、大阪グルメ探訪

 ケーブルテレビ事業などを展開するJComが製作する番組「ふくあじ旅のススメ」の特別版が大阪で街ロケを敢行したので、その撮影現場に密着してきた。

 筆者がプロデュースしている番組とはジャンルが違うが、他人の撮影現場を垣間見るのはなかなか楽しいものだ。

 今回、撮影に密着した「ふくあじ旅のススメ」は、大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「EARTH MART」を手がけた小山薫堂さんが番組ホストを務める旅番組だ。小山さんがゲストにお気に入りの飲食店を紹介するほか、ゲストが小山さんを行きつけの店へ案内するなど、食を通じた交流を描く。

 今回の特別版は大阪編。大阪市出身で、小山さんの友人でもある漫才師のハイヒール・モモコさんが案内役を務め、自身のお気に入りの店へ小山さんを連れて行くという構成だった。

 撮影は、小山さんとモモコさんが店を訪れて、店主と地元の話をしながら料理をいただくという形で進んで行った。各店ではモモコさんのオススメの料理を用意してもらい、小山さんに味わってもらいつつ、店や料理、店主とのこれまでの思い出などをモモコさんがあけすけに話して盛り上げていた。

 途中、1カ所だけ飲食ではない場所に立ち寄ったのだが、それは道具屋筋の中にある食品サンプルの製造と販売を行うデザインポケット。

 ここでは食べるのではなく食品サンプル作りにチャレンジして、苦戦した末に大きなエビフライを完成させた。

 このデザインポケットは、実は筆者自身も10年以上前に一度、撮影に協力してもらったことがある思い出の店だ。当時と比べると、食品サンプルの知名度は大きく高まり、店構えも一段と立派になっていた。

 店内の一角を占領する形でサンプル作り体験を行っている上に、放送には映らない場所には10人以上のスタッフが周りを取り囲んでいてなかなかの混み合い。今回の撮影全般を通して、15から20人近い関係者が、撮影しているカメラの後ろにいて、地上波の番組顔負けの陣容だったのはかなり驚いた。

 これまでにも地上波番組の街ロケは何度もみているが、予算削減が進む昨今では、こんなにスタッフが多いのは珍しい。JComはそれほどこの番組に力を入れているのだろうと感じた。

 番組ホストの小山さんも「地上波番組よりスタッフの数が多い」と驚いていたのが印象的。

 後半に立ち寄ったちゃんこ鍋店「ザ・ちゃんこ 萩屋本場所」は、実はハイヒール・モモコさんの夫が経営している店だ。先代オーナーが引退する際、「店を閉じてはならない」との思いから立ち上がったのが現在の経営者である夫で、モモコさんも当時は驚きの決断だったと振り返っていた。

 自慢のちゃんこ鍋を振る舞う様子を2台のカメラで撮影しつつ、その後ろからスマホで動画撮影したり、番組のオフィシャルカメラマンが写真を撮影したり、筆者とともに密着取材に参加していたメディアのカメラもあり、とにかくカメラの多い撮影だった。

 撮影後には、「食べきれなかったちゃんこ鍋をスタッフの皆さんで分けてください」というモモコさんの気配りにより、寒空の下で撮影を続けていたスタッフにも、熱々でだしの効いたちゃんこ鍋が振る舞われた。大阪のおかんを代表する存在として知られるモモコさんの、スタッフにまで心を配る優しい一面が垣間見えた場面だった。筆者も少し口にしたが、確かに評判通りの味わいだった。「おいしさでは誰にも負けない」と語っていたご主人の言葉も、決して大げさではなさそうだ。

 最後に訪れたモモコさん行きつけの隠れ家的存在の店「ラ・ルッチョラ」では、一般の来店客もいる中、カウンター席の一番奥の席を占領し、その横から一般客の座るカウンターの後ろへカメラマンなどのスタッフが立ち並んだ状態で撮影が行われた。

 ここでも小山さんからは「大阪でなければお客さんは怒るよ」というコメントが。

 大所帯での撮影の中で、機材の進歩というか使い方で気になったのが撮影に使っているカメラに接続されたスマホ。通常、カメラで撮影している映像を確認するために小さなモニターがカメラに接続されているが、今回は2台のカメラを同時に使用しているので、お互いのカメラが撮影している映像がそのスマホ画面で視聴できるようになっていた。

 こうした撮影手法はなかなか目にすることがなく、多額の費用をかけた撮影を想像していた中で、実際にはコストを抑えつつ、機材を効果的に生かした工夫であったことがうかがえた。

 撮影全体は終始、和気あいあいとした賑やかな雰囲気に包まれていた。おいしい料理と弾む会話を軸に進行するため、シビアな場面も多い撮影現場ながら、スタッフも楽しみながら臨んでいる様子が印象的だった。どの場面を切り取っても料理は実においしそうで、楽しげな会話と笑顔があふれており、完成した番組がどのような仕上がりになるのか期待が高まる。

 関西エリアでの放送予定は、J:COMチャンネル(地デジ11ch)が2026年1月2日午後8時から、Jテレ(12ch)が同年1月26日午後9時からとなっている。

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