
寝たばこによる火災を防ごうと、一般社団法人日本たばこ協会(TIOJ)は11月13日午後5時から、大阪市西成区の三角公園(萩之茶屋南公園)で啓発活動を行った。同所で毎週木曜に炊き出し活動を続けるダルビッシュ翔さんらのグループ「大阪租界」と協業し、来場者に注意を呼びかけた。
大阪租界の炊き出しは今回で221回目。2021年から4年以上、途切れることなく続いている。
当日は、TIOJスタッフ3人と大阪租界のメンバーらが、炊き出しに並ぶ人らに「寝タバコしないようにねー」「おかわりはなしですよー」「食べ終わったら皿をごみ箱にお願いしまーす」と声を掛けながら、300〜350人分のクリームシチューを提供した。炊き出しに合わせて、「ストップ!寝たばこ」と書かれた手袋や菓子、ティッシュ、チラシなども配布した。
TIOJによると、加熱式たばこの利用が広がり紙巻きたばこの喫煙率は下がっているものの、たばこ火災は減少していない。特に寝たばこ火災は一酸化炭素中毒を招きやすく、逃げ遅れにつながるため死亡率が高いという。
消防庁の分析では、寝たばこ火災を起こしやすい傾向として、50~60代の男性喫煙者、一人暮らし、日雇い労働者などが挙げられている。TIOJはこうした状況を踏まえ、昨年から大阪租界の協力を得て啓発を強化している。
会場には、人気漫画「めぞん一刻」のキャラクター音無響子さんの等身大バナーを設置。TIOJは、同作が1980年代にヒットし、活動の主対象である50~60代男性の認知度が高いことから、2014年度から響子さんを起用した啓発活動を展開している。
大阪租界のメンバーであるダルビッシュ翔さんは、昨年からTIOJと協力していることに触れ、「特にタバコを吸う人や一人暮らしなど、支援が必要な人たちのことが心配」と懸念を示した。シニア層の単身者に喫煙の傾向が高いことを指摘し、「生活支援の一環としても、命を守る意味でも、この取り組みは大事だ」と強調した。
さらに翔さんは、大阪市の路上喫煙禁止条例について「実際は喫煙所が足りておらず、路上喫煙が減っていないのが現状」と課題を指摘。弟であるダルビッシュ賢太さんが継続して行う清掃活動では、「拾うごみの中で、たばこの吸い殻が一番多い」と報告し、喫煙環境改善の必要性を訴えた。

