キュリー夫人とアインシュタインの知られざる往復書簡、ついに発刊 ポーランド館で記念イベント

 女性として初めてノーベル賞を2回受賞したマリ・キュリー(キュリー夫人)と相対性理論の発見者のアルバート・アインシュタインの間で交わされた個人的な手紙のやり取りをまとめた書簡集が出版されたことを記念して、キュリー夫人の祖国であるポーランドパビリオンでこのほど、イベントが行われた。

 同館内のオーディトリアムで、書籍の監修を行ったエヴァ・ワブノ=ファレンツカ博士(Dr. Ewa Łabno-Falęcka)氏が出版に至る経緯を紹介した。

 キュリー夫人がアインシュタインよりも12歳年上の女性であるという事実は、手紙のやり取りをする上で、1900年代前半ではかなり稀有なものだった。そんな中、1911年から1932年まで20年以上に渡って二人が手紙のやり取りをしていたこと、そしてその内容のほとんどが科学や専門的なことではなく、政治情勢やプライートなことだったことも、これらの手紙のユニークさを強調している。

 これまでキュリー夫人の伝記を何冊も出版していた作家ですら、この手紙の存在を知らなかった。たまたま見かけた小さな記事に書かれていた二人の手紙のことに興味を持った文献学者でもあるエヴァ博士が、世界各地にあるキュリー夫人の記念館などへ連絡をとり、手紙を1つずつ発掘していった。

 学術的な知識や強い興味、個人的なネットワークを生かして進められたプロジェクトは、最終的に書簡集となり、4月に英語版が出版され、今回日本語版が無事に出版された。

 これまでほとんど知られることのなかったキュリー夫人とアインシュタインの手紙のやり取りを掘り起こし、世間の目に触れる形にした功績は大きいのではないだろうか。ポーランドでは同書簡集がベストセラーになっている。

 しかし、エヴァ博士は文学者でも歴史学者でもなく、普段は大手自動車メーカーの役員として仕事をしていて、過去には外交官として働いていたこともあるという多才な人物で、「今回の取り組みも趣味が高じて出版になった」と笑顔で答えてくれた。

 エヴァ博士は気さくで話やすく、語ってくれたストーリーはとても面白かったので、時間が許せばもっともっと話しを聞きたかった。

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