シンガー・ソングライター蘭華がデビュー10周年記念曲「ありがとう」を発売

 デビュー10周年のシンガー・ソングライター、蘭華が8月に記念曲「ありがとう」を発売。このほど訪れた大阪で扇町公園で開催の「レインボーフェスタ2025」ライブにゲスト出演。合間を縫って在阪のラジオ局などを勢力的に回って新曲をPRした。

大阪を訪れ、道頓堀川のほとりに立つ蘭華

 一昨年末に出した3枚目のアルバム「遺書」が今も話題に。深刻な社会問題になっているいじめや誹謗中傷によるハラスメントを続ける者たちに対し「そして友は自ら命を絶った」と取り返しのつかない事態を訴える内容。「アルバムタイトルは作品名から選ぶことになり、担当デュレクターは『僕は生きている』、私は『遺書』を。デュレクターからは〝前向きなタイトルにしたい〟と言われましたが、私のこだわりを受け入れて頂いた」と蘭華。

 大切な友人を自死で失ったつらい経験をどうしても歌にしたかった。遺族から自分宛に残された手紙を読み、その痛みを曲にしたのがズバリ『遺書』だったからだ。全ての作品に強いメッセージ性が込められている。今回再録した『愛を耕す人』は、2019年末にアフガニスタンで井戸開墾を続けながら凶弾に倒れた日本人の中村哲医師(享年73歳)を偲んで翌20年に作った曲。

 アフガンはその後、イスラム過激派タリバンが全土を制圧し中村医師を讃えた壁画は消され、再び女性に対する人権弾圧が強まる。「世界は力による支配が強まるばかり。でも私は歌で訴え続けるしかない」と顔をそむけず今日もステージからメッセージを発し続ける。

新曲「ありがとう」を出した蘭華

 澄んだ声と和洋だけでなくアジアを融合させた独特の世界観が魅力。デビュー以来支えてくれたファンやスタッフに対して素直な感謝の気持ちを込めた曲が今回の新曲「ありがとう」だ。

蘭華の新曲「ありがとう」のCDジャケット

 現在の徳間JC でデビュー以来所属したレコード会社は10年で既に4社目。蘭華自身は「ずっと1社所属の方がいいに決まっている」と複雑だが、プロ歌手の世界ではヒット曲がなければ1、2作で契約解除されるケースも珍しくない。より良い創作環境を求め移籍しても、また次の引き手が現れるところが実力派の何よりの証明と言えそうだ。

(畑山 博史)

タイトルとURLをコピーしました