開幕前に訪れていたウズベキスタンパビリオンに改めて訪問してみた。
中央アジアに位置するウズベキスタン。なかなかイメージするのは難しい国の一つかもしれないが、日本とは地理的距離以上に近い国だ。
万博での展示は、現在同国が目指している持続可能なエネルギーを生産して国を発展させていく姿を中心に行われていて、ルーフトップガーデンではウズベキスタンの空気を感じられる空間と時間を演出している。

同国パビリオンのテーマは「知識の庭」で、人と自然の調和を反映している。レンガ、粘土、スギの木で造られたパビリオンは、終了後解体する。日本各地から取り寄せた木材は柱などに使用され、ウズベキスタンに持ち帰った上で学校などの建設に再利用される予定だ。
ウズベキスタン、タジキスタン、キルギス、トルクメンなどの中央アジアの国々で使われる、魔除けやお守りの意味を持つお守り、護符の総称を意味するトゥマールの形をした三角形の敷地に建つこのパビリオンは、伝統、革新、持続可能性、創造性を探求し、「知識の庭」の美と知恵に結実するように建てられている。

久しぶりに入館して見ると、1階の展示内容には変化はないようだが、改めて説明を聞きながら巡ると、同国が持続可能な再生可能エネルギーに注力しているかがよくわかる。
淡路島の土を使って作った廊下スペースを通り抜けると、照明を落とした空間に、スポットライトを浴びる形で展示物が展示されている。

それぞれの展示物は、同国の持続可能エネルギーの取り組みを紹介し、現状と今後目指している目標のイメージなどを模型やデジタル映像を使って表現している。照明の使い方が上手で、3Dホログラムなどもあり、見応えがある展示だ。
展示では、現在50%弱のエネルギーを再生可能エネルギーで賄っている状況を50%以上に引き上げる取り組みや、政府が出資して太陽光パネルを設置した住宅の20万戸建設計画、水素をエネルギーに走る列車の実際の運行などを通じて学ぶことができる。



また歴史のあるモスクが過去の戦禍や自然環境によって崩れてしまった部分をデジタルデータで再現して展示していたり、と過去から現在、そして未来のウズベキスタンの変換も見ることができるようになっている。

このスペースの展示を見終わると、建物の真ん中にある円柱形の空間に移動する。
360度の壁に映像が現れ、ここでは映像を使ってウズベキスタンの過去から現在、豊かな自然や文化に触れることができる。


気づくとドアが開き、外へ。しかしそこは1階ではなく2階のルーフトップガーデン。映像を見ている間に円柱形の空間が2階まで移動していたのだ。あまりに静かで映像美に意識を集中していると動いていることすらわからないほどだった。
ルーフトップガーデンに出ると、日本全国から集めた木を使って建てられた柱とトゥマールの形をした三角形のブロックがそれぞれの柱を上部で繋いで固定しているのがわかる。


壁も天井もないので、柱の向こうに青空が見え、角度によっては対面にある大屋根リングとの共演も見ることができる。

4月の初め頃にきたときにはなかったブルーグリーンの綺麗な色をしたイスがあちこちに置かれているのがとても印象的。



ウズベキスタンの職人が製作したそうで、このブルーグリーンは同国のシンボルカラーのようなもので、1階にあるギフトショップの壁にも同じ色のタイルが埋め込まれていて、鮮やかな青が目を惹く。

柱についた傷や汚れを見ると、この半年の時の流れと多くの来館者が残した足跡を感じることができ、これらの木が今後ウズベキスタンに運ばれて再利用されることを考えると、万博は10月13日で終わるわけではなく、今後も世界中のあちこちで続いていくことを感じられた。