木造建築のパルテノン神殿? と思いそうな建物がウズベキスタンパビリオン。
三角形の形をしていて、土台部分はレンガや粘土でできた素材を積み上げていて、2階部分は関西圏から集めてきた木材をふんだんに使用した作りになっていまる。2階は壁も屋根もない開放的な作りで、隣の大屋根リングと木造建造物の同志といったところか。
同館は、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に沿って、 「知識の庭:未来社会のための実験室(Garden of Knowledge: A Lbaoratory for a Future Society) 」をテーマにしている。そのため、サステナブルな建築で知名度の高いドイツの建築設計会社がデザインと建築を担当し、ウズベキスタンの豊かな文化遺産、先進的な建設技術、そしてSDGsへの取り組みを表現したという。
平たく薄いレンガを積み上げた壁をぐるっと回りこんで入り口へいくと、どこかで見たような土壁が両サイドに。これは淡路島の土を使った土壁で、どうりで見たことがある紋様だと思ったわけだ。
その廊下のような空間を抜けると、そこは照明を落とした暗い空間で、そこかしこに展示物が置かれていて、その部分だけが照明が当たって浮かび上がっている。
館内では、ウズベキスタンの未来志向の取り組みを体験できる没入型の展示が用意されていて、それぞれには、ウズベキスタンの現在から、未来の計画案に添った模型や「こうなる予定」の姿が表現されている。ここではウズベキスタンが今後どんな風になっていくのかの未来予想図を見ることができるのだ。
ユネスコの持続可能な開発目標(SDGs)に沿ってウズベキスタンが進めるグリーン経済への移行計画や、再生可能エネルギーのプロジェクト、環境に優しい交通手段、省エネルギー型住宅などの取り組みが展示され、持続可能なインフラの発展についても触れている。
中央アジアの国というステレオタイプ的なイメージとは違った一面を発見して驚くかもしれない。
その後、パビリオンの真ん中ほどにある移動式のプラットフォームに乗り、パビリオンの上部へと昇る。巨大な丸いエレベーターともいえるかもしれない。
30人も乗れ、足元はコンクリートのようなモノでできている上に、物凄くゆっくり上がっていくので動いているといわれなければ気づかないかもしれない。
この移動中には、360度に映像が映し出され、ウズベキスタンの文化や生態系の歴史をたどる没入型体験が楽しめる。ウズベキスタンの文化・歴史的名所を巡りながら、歴史や伝統について学ぶことができるのだ。
映像が終わるタイミングに合わせてドアが開き、外に出るとそこは開放的な2階のTerrace of Columnsと呼ばれる場所へ繋がっている。
開放的なテラスであるこのエリアには関西圏から切り出してきた木材を使用した柱が286本立ち並び、日よけの役割を果たしながら、アイデアを交換する空間としても機能するという。側面と天井が開放された構造で、重なり合う柱と梁が光と影を作り出し、ウズベキスタンの伝統的な装飾模様を彷彿とさせるデザインとなっている。
風通しの良い高さ8メートルの木造彫刻は森を象徴し、日本の木造文化とウズベキスタンの伝統的な寺院や宮殿の建築を参考にして建てられているそうだ。
また来場者はスマートフォンを使って、それぞれの木の原産地を追跡することができるよになっている。
木材にはトラッカーが付けられており、トラッカーにスマホをかざすとどこで伐採された木材なのかを確認できる。
このパビリオンの建築に使われた材料は、万博終了後には解体され、ウズベキスタンに持ち帰って再利用される予定。
2階に近い部分で使用されているレンガは、これまで日本のどこかで使用されていたものをリサイクルしたそうで、既にサステナブルな活用サイクルに入っているといえる。
最後に2階からスロープを通って降りてくると、青いタイルが目を惹くショップにやってくる。
このパビリオン建設に使った素材の中で唯一ウズベキスタンから持ってきたのがこの青いタイルたちだ。とても綺麗で特徴的なターコイズブルーのような青をしている。
ウズベキスタンパビリオン全体は、テーマである〝Garden of Knowledge: A Laboratory for a Future Society〟にちなんでGarden of Knowledge(知識の庭)と呼ばれ、ここで得た知識を育てて未来の社会を築き上げていこうというメッセージが伝わってくる展示内容の構成になっている。2階のTerrace of Columnsでは自然と会話してみるのも良いかも。