AI時代に対応、履正社高が「データサイエンスゼミ」開設、クラブ活動の改善策を実装へ

 AIやデータ活用の重要性が高まる中、履正社高等学校(大阪府豊中市)が新たに「データサイエンスゼミ(旧プログラミングゼミ)」を立ち上げた。理数系の教員を中心に、プログラミングを通じて数値分析力や論理的思考力を磨き、学校生活やクラブ活動の課題解決に挑むユニークな取り組みだ。

課題解決力を育成、校内実装までが目標

 ゼミの最大の特徴は、学んだ知識を「実際の課題解決」に結びつける点にある。プログラミング言語「Python」を基礎から習得し、未経験者でも100行程度のコードを書ける力を養成。単なる技術習得にとどまらず、学校生活や強化クラブの現場に入り込み、データ分析の視点から改善策を提案・実行する。生徒が主体的に課題を見つけ、プログラミングで解決を目指す学びは、社会に直結する実践型教育といえる。

プログラミング言語「Python」を基礎から習得

 今年度はラグビー部を対象に、フィジカル強化のためのデータ解析に挑戦。IT企業のパナソニックインフォメーションシステムズ(大阪市)とも協力し、競技力向上に結びつける活動を展開している。

 ゼミに参加する1年生の女子生徒は「(ラグビー部の)食事分析や体重管理を支える仕組みを作りたい」と笑顔を見せる。また、ラグビー部に所属する生徒は「食事や体重管理を毎日記録するのが負担。練習成果がデータで見えるようになれば励みになる」と意欲を語る。

ゼミ生の進絢心さん
ラグビー部員の藤沢修太郎さん

 また、学校生活の快適さ向上を目的に「食堂の混雑解消」にも取り組む予定だ。指導にあたるのは、数学科の寺尾明人教諭と情報科の足立翼教諭で「初心者から経験者まで丁寧に指導する」ことを掲げる。
 足立教諭は「プログラミングは特別な才能がなくても始められる。データを読み解き、解決策を考える経験を通して、どの進路にも役立つ力が育つ」と語る。寺尾教諭も「クラブや学校の課題を題材にすることで、生徒たちが自分ごととして学びに没頭できる」と話す。

 ゼミは月・水・木曜の放課後、または火・金・土曜の放課後(各90分)に開講。受講無料で、継続的に取り組める環境が整えられている。対象はプログラミング未経験者から誰でも挑戦できる体制だ。

 社会全体でデータ活用人材の不足が指摘される中、履正社の「データサイエンスゼミ」は、単なる知識習得にとどまらず、生徒の主体性と創造力を育てる新しい教育モデルといえる。生徒自身が学校やクラブの現場を舞台に課題を掘り起こし、改善に向けた提案を実現することで、「学び」が「社会貢献」へとつながる。
 「未来社会で必要とさ れる力を、履正社で育てたい」。新しいゼミには、そんな教育への思いが込められている。

▼データサイエンスゼミの主な内容

目標「Python」のコーディングスキル習得
学内・クラブ課題の改善
プログラミングで学校生活の向上提案・実現
内容未経験者でもPython基礎学習(100行程度)
データ解析で校内やクラブの支援・改善
IT企業(パナソニック)と連携
開講スケジュール月・水・木または、火・金・土の放課後(各90分)
※受講無料

■履正社中学校・高等学校/豊中市長興寺南4-3-19/電話06(6864)0456
https://riseisha.ed.jp/

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