関電不動産開発、南海電気鉄道、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の在阪3社は 、 なんば駅前で進める大型複合ビル「(仮称)難波千日前地点再開発プロジェクト」に、米ハイアット・ホテルズ・コーポレーションの都市型ブランド「ハイアット セントリック」が関西初進出すると発表した。客室数は267室。インバウンド需要の高まりを受け、なんばエリアに不足していた上質なフルサービス型ブティックホテルが誕生する。

同プロジェクトは、かつてタワーレコードや無印良品、ロフトが入居し、ミナミの文化発信拠点として親しまれた「難波センタービル」跡地と、三菱UFJ銀行難波駅前支店があったビルなどを再開発する。
新ビルは、地上28階・地下2階建てで、高さは128㍍。2027年3月に着工し、31年3月の開業を目指す。低層部には商業施設、中層部にエリア最大規模となるオフィス、15〜28階にホテルを配置し、屋上にはルーフトップバーを設ける。

南海電鉄は、なんばターミナルから新今宮・新世界へと続く南北ラインを軸に、にぎわいの回遊空間を生み出す「グレーターなんば構想」を掲げ、まちづくりを進めている。
31年には「なにわ筋線」が開業予定で、南海が大阪駅に乗り入れるという長年の悲願が実現する。一方で、これまで終着駅のターミナルとして機能してきたなんばが「通過駅」となる懸念も指摘されている。

歩行者空間として整備が完了した「なんば広場」「なんさん通り」と連続する今回の再開発は、代表企業こそ関電不動産開発だが、南海にとっても重要な計画だ。
同社まちづくり推進室 開発部の担当者は「なんばを目的地として訪れてもらえる吸引力となる開発にしたい。都市格を高める上で、駅前にブランド力のあるホテルを誘致できた意義は大きい」と話す。
最近はキタやニシ、ヒガシの開発が注目されてきたが、今後は「ミナミの逆襲」が始まりそうだ。
