
もうすぐ万博会場取材が50回に達する筆者がオススメする万博の楽しみ方を紹介する。
万博会場へいく際は、必死になってパビリオンの予約を取ったり、長蛇の列に何時間も並んで、なんとかしてパビリオンをみようとする人が大半だと思うが、それも万博を体験して、楽しむ方法の一つだが、万博を最大限満喫するには、ほかにも楽しみ方があることを知ってほしい。
それは各パビリオンやオープンステージで行われているパフォーマンスを観て回ること。
フラッと立ち寄ったアンゴラパビリオンでは、誰でも自由に入れるカフェスペースにあるステージで、「アンゴラーズ」というアンゴラ人のバンドとシンガーのグループが、ノリノリでアンゴラミュージックを演奏していた。
それほど広くないスペースは人で一杯で、観客は皆ノリノリ。
次に向かったのはチェコパビリオンのオーディトリアム。こちらは事前予約をして行ったが、当日整理券をもらって指定した時間に来る方法が一般的なようなので、朝早くに整理券を確保すれば誰でも参加可能。
この日は「Prague Radio Symphony Orchestra (Chamber Soloists)」の演奏。日本語だとプラハ・ラジオ・シンフォニー・オーケストラで、国を代表するシンフォニー・オーケストラ。
そんなに広くないオーディトリアムでの演奏だったのと、特等席に座らせて貰えたので、演者までの距離がわずか数メートルの至近距離。近過ぎて11人しかいない演者全員を写真の1フレームに納めきれない!
そして演奏が始まると、もう言葉は必要なし。ただただ聴き入るばかり。素晴らしいの一言だった。
次の目的地、シャインハットへ移動中、ポルトガルパビリオンの2階に二人のギターリストが!
彼らはポルトガル音楽を演奏しており、パビリオンのすぐ横の地面にスピーカーを置いて、その演奏を通りゆく人々に聴かせていた。
何気ない演奏だが、ポルトガル音楽を生演奏で聴ける機会は、大阪では早々あるものではないので、貴重な体験だった。
ポルトガルパビリオンでの流しのミュージックを楽しんだ後は、目的地のシャインハットで、ブラジル音楽のヴォサノバを小野りささんの歌唱で傾聴。
こちらも当日整理券をゲットできれば参加可能で、会場自体は1500人入るので、パビリオンでのイベントと比べると収容人数は段違いに多い。
この日は、小野りささんの後に、ブラジルのデザイナーによるファッションショーが華々しく行われ、最後にサンバシンガーのTerasa Cristinaさんがブラジルから駆けつけて歌を披露した。
そして、締めは、チェコパビリオンのルーフトップから見る「アオと夜の虹のパレード」。これまで正面や大屋根リングの上からなど何度か位置を変えて鑑賞したことのあるこのウォーターショーだが、チェコパビリオンのルーフトップからの眺めは最高だった!
また、このウォーターショーの前にはサックスフォンとフルートを使いこなす男性ミュージシャンの演奏もあった。
こちらも、ルーフトップで特別な貸切イベントなどがない時は、午後7時半までにパビリオンを鑑賞してルーフトップに辿り着くか、ルーフトップのレストランに入店できていれば、鑑賞は自由。
このようにパビリオンを見る以外にも万博をエンジョイする術はたくさんある。この日も筆者が見ていないだけで、ほかにも音楽イベントやパフォーマンスなどさまざまな取り組みが会場内の各所で行われていた。
予定が被りすぎて行きたくてもいけないことの方が多いくらいだし、ポルトガルパビリオンのギターデュオのように、偶然出くわす演奏やパフォーマンスも多々あるのだ。
そういうことも頭に入れて、パビリオンの予約だけに固執しすぎずに、柔軟に対応すれば十分に楽しめる要素はあちこちにある。
アンゴラミュージックやチェコのシンフォニー・オーケストラ、ポルトガルミュージックのギター演奏、ブラジルのヴォサノバとサンバ。それぞれの舞台をお金を払って聴きに行っても十分楽しめるものが一日でハシゴして聴けて、追加料金なしとは、万博は太っ腹過ぎないか?
「アオと夜の虹のパレード」だけでもそれなりの金額を徴収して観せても十分なクオリティーなので、まだ観ていないという人は、閉幕までに必ず観てほしい。
鑑賞後に、観客から聞こえてくるのは賞賛の言葉だけ。どこの国の人であれ、あのショーを観て満足していない人に今まであったことがないほど。
当日のプログラムは大人向けの内容が中心だったが、子どもも一緒に参加できる。小さな子どもを連れての参加に「泣いたらどうしよう」「騒いだら迷惑では」と心配する声もあるが、実際には安心して楽しめる雰囲気があった。
子どもたちは本物に触れると驚くほどの集中力を見せ、真剣に聴き入ったり、目を輝かせて見入ったりする姿が印象的だった。大人以上に素直に良いものを感じ取る感性を持っており、成長の一助となる貴重な機会になっている。
万博の魅力はパビリオンだけにとどまらない。会場内には多彩なプログラムや体験が用意されており、その多くがここでしか味わえない本物志向の内容だ。大阪で再び目にしたり耳にしたりできる機会がいつ訪れるかは分からず、もしかしたらもう二度とないかもしれない。
「人生、楽しみましょう!」これは万博で外国人と話ていて一番痛感することだ。