23兆の仲間と暮らす!? ブルガリアパビリオン、バクテリアと未来を描く展示

 昼間はあまりわからないが夜になるとキレイな照明でライトアップされるブルガリアパビリオン。

ブルガリア、万博

 かわいらしいデザインとカラーバランス、そして目を惹く大きな着ぐるみのような人形のような物体が特徴だ。そのデザインの正体は、実はバクテリアを模した緑のソファーと、国旗の赤と白を使って表現した生命の木。

ブルガリア、万博

 緑のソファーはそれぞれ形が違うのだが、それはそれぞれモデルになったバクテリアの形が違うから。座り心地の良いソファーというだけでなく、それぞれに込められた思いがあるようだ。

 このソファに座って前を見ると、壁一面に埋め込まれた丸いスクリーンから一斉に映像が映し出され、ブルガリアの歴史や生活、技術や文化、スポーツなどが過去から現在に向けてが紹介されていく。

ブルガリア、万博
ブルガリア、万博

 その中で先ほどの謎の巨大人形が登場し、それはラクト(LACTO)ちゃんで、同館のマスコットだと紹介される。

ブルガリア、万博

 そしてラクトちゃんは、1つの個体ではなく、無数のバクテリアが集まるコミュニティを体現した存在で、その中ではバクテリアたちがほかのバクテリアと協力して社会を維持しているのだという説明がなされる。
 このラクトちゃんの中で起こっていることこそ、今回の万博のテーマとも繋がるもので、お互いが助け合い、新しいことに挑戦し、他人をケアしたり愛することが大切だというメッセージになっているのだ。

ブルガリア、万博

 ラクトちゃんの名前は、ブルガリアのヨーグルトを世界的に有名にした「Lactobacillus bulgaricus(ラクトバチルス・ブルガリクス)」が由来だ。
 ラクトバチルス・ブルガリクスは、乳酸菌の一種で、ブルガリア菌とも呼ばれる。ちなみにブルガリアでは、ヨーグルトは少なくとも1300年前には作られていたことが書物によって確認されているという。それが近代になって科学が発展した結果、バクテリアの働きによるものだということがわかっただけのことらしい。

ブルガリア、万博

 また1970年の大阪万博の際にブルガリアパビリオンでは日本で初めてブルガリアヨーグルトを販売し、天皇陛下も食されたそうで、その後日本で大人気の商品になり、今でもブルガリアヨーグルトという商品名で販売されているのは皆さんご存知の通り。

 ヨーグルトで有名なブルガリアがその製造に欠かせないバクテリアにフォーカスを当ててパビリオンを展開するのは理解できる。
 しかしそのバクテリアが人間の体内だけでも23,000,000,000,000(23兆)個もいるとは驚きだ。

ブルガリア、万博

 それでもまだ14桁の数字で表せる程度。なぜならこの地球上には39桁の数字で表すほどのバクテリアが生息しているというからもっと驚きだ。このバクテリアたちが私たちの生活を守り、科学や文明の進歩に大きな力を貸してくれているということを同館では学べるのだ。

 次の部屋へ移動すると、バクテリアを活用してこんな未来の世界を作りたいということを紹介する映像が現れる。

ブルガリア、万博
ブルガリア、万博

 そしてこの部屋は円でもなく、四角でもなく、壁がカーブした不思議な形をしているのだが、それはバクテリアの形をイメージして作られたからだ。

 その部屋から戻ってくるとちょうどラクトちゃんがいる場所へ出てくるようになっている。ラクトちゃんはこの万博のために生まれ、この大きなラクトちゃんと、受付カウンターの上にいる小さなぬいぐるみサイズのラクトちゃんの2体だけしか存在しないそうだ。

ブルガリア、万博

 忘れないために追記しておくが、同館内には多目的トイレがあり、必要な場合は利用できる。