地域の空き家活用と障害者の就労支援を目指し、今夏オープンした大阪市城東区のクラフトビール醸造所が新たな一歩を踏み出した。瓶ビールの発売に伴いラベルデザインを公募したところ、住民のデザイナーが手掛けた作品が最優秀賞を受賞。就労する人たちがラベルを貼り付け、周辺の飲食店への提供などで販路を拡大していく方針で、受賞者は「デザインで地元を盛り上げていきたい」と意気込んでいる。
醸造所は、「がもよん」の愛称で親しまれている同区蒲生4丁目の「ガモヨンブリュワリー」。築100年を超える古民家を改装し、今年8月に地域初のクラフトビール工房として開業したばかりだ。隣接する畑で収穫したホップを使用し、就労支援の利用者らが仕込みや醸造器の洗浄などを行う活躍の場としても注目を集めている。
最優秀賞を受賞したのは、同区の中島紫保さん。キャラクターグッズなどの商品開発を手がけるデザイナーで、アイデアはビール好きの夫が愛飲する世界各地のビールラベルを見て研究。永く愛されるよう飽きのこない紺色を背景に、風情ある昔ながらの町並みと醸造所を「GAMO4」の文字で表現した。
中島さんは普段から地元の古民家店舗を散策したり、地域イベントにも参加したりする“がもよん通”だ。交流サイト(SNS)でコンテストのことを知り、「得意分野のデザインで地域に貢献したい」と応募したところ30件を超える作品の中から選ばれた。
12月19日に同所で表彰式が行われ、周辺地域の空き家再生事業を担う一般社団法人「がもよんにぎわいプロジェクト」の和田欣也代表、地元のまちづくりに携わる「スギタグループ」の小林一矢取締役、醸造所を運営する「燦然会」の上好功理事長から賞状と受賞作品のラベルが付いた瓶ビール1ダース、近隣の古民家店舗で使える商品券3万円分が贈られた。中島さんは「今後もデザインで地元を盛り上げていきたい」と力を込めていた。
問い合わせは、電話050(8884)9180。