日米株 今年の振り返り 来年の見通しは?

 今年を振り返り、読者の皆さまの投資成績はいかがだっただろうか。日米の代表指数で、その年が始まってから現在までの株価(年初来)を見ると日経平均株価は15%、米S&P500が24%、ブームとなった生成AIなどハイテク銘柄が多いナスダック総合指数は30%の上昇となった(小数点切り捨て、21日現在)。

 米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏は、「個別株よりも米S&P500株価指数へ投資した方が賢明だ」というコメントを残している。個別株にやみくもに手を出すより、その国を代表する株価指数に連動する投資信託やETF(上場投資信託)を買うだけで十分な利益を得られるという意味で、この言葉をしみじみと感じさせる1年だった。

 日経平均株価は7月に34年ぶりの最高値4万2000円台となったが、日本銀行の金融政策正常化の一環で17年ぶりの利上げがあり、8月に約27%の暴落を経験したものの、今年の日経平均株価を「ドルコスト平均法」で購入した場合、12カ月の実質利率は約8・5%となる。

強い経済の米国 再インフレ懸念も

 米国の経済情勢は良好で労働市場は堅調。18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0・25%ポイント引き下げ、4・25~4・50%とした。しかし、その直後の米国株は大きく下落(S&P500でマイナス約3・8%)。理由は、2025年について、「来年の利下げ回数は以前考えていたよりもはるかに少なくなると予想している」というコメントなどがあり、来年の利下げ予想4回から2回以下を市場が織り込み始めたためだ。

 もともと、 トランプ次期政権により、インフレが加速する可能性が高まっている。規制緩和や投資促進を進める一方、不法移民の送還や関税の強化は、供給を抑制する可能性があり、インフレを再燃させやすい状況にある。FRB(連邦準備制度)は慎重にならざるを得ない。

もしかして「少数与党って良いんじゃない?」の日本

 19日の金融政策決定会合で日銀の植田和男総裁は、「経済はオントラック(予定どおり)」「追加利上げの判断にはもうワンノッチ(一段階)ほしい」「春闘、大きな姿が分かるのは3月か4月」と、日本企業の賃金や米国の動向を見極めている。

 20日に発表された日本のCPI(総合、コア、コアコア)は予想より上振れ。しかし、中身を見ると上がっているのはエネルギーと生鮮食品、そしてお米であり、サービス価格は横ばい。内需の高まりを感じるには今ひとつだった。

 今年は生成AIブームだったが、日本はまるで乗れていなかった。しかし、WSTS(世界半導体市場統計)の2025年見通しによると、いよいよ日本半導体も復調の兆しがあるという。そして、政治面では103万円の壁撤廃議論は、株式市場には「一般的に少数与党は不安要素でしかないが、日本では少数与党って良いんじゃない?」というムードがあるという。

 年末、米国はクリスマスを過ぎた頃から節税対策売りが一巡し、買い戻しが入る「クリスマスラリー」、日本は相場格言「掉尾(とうび)の一振」という、年末に向けて株価が上昇しやすいアノマリー(経験則)があるようだ。